「甘いものは人を幸せにする」で幕を閉じた”恋あた”

『この恋あたためますか』(以下:恋あた)は、コンビニの代表取締役社長である浅羽(中村倫也さん)と、そのコンビニで働くスイーツ好きの樹木(森七菜さん)が、コンビニスイーツの開発を通して仕事に邁進し、恋愛に発展していく物語でした。

コンビニスイーツはSNSなどで近年話題沸騰することもあり、日々のご褒美として選ぶ人も多いものですが、コンビニスイーツ開発という過程を連ドラで扱うのはおそらく初めてだったのではないでしょうか。

奇遇にも、今期放送されていたドラマ『僕らは恋がヘタすぎる』でもヒロインがコンビニスイーツ開発の部署で仕事をしているという設定でしたので、コンビニスイーツや、甘いものへの注目度の高さがうかがえます。

「恋あた」では、パティシエの仕事とはまた違ったスイーツ開発の過程が描かれていて、お仕事ドラマとしても見どころがありました。仕事に悩み、恋に悩みというのは今までにもあるストーリーだったかもしれませんが、身近にあって多くの人の手に届きやすいコンビニスイーツを軸にしたストーリーだったからこそ、共感したり、応援したりできる部分もありました。

何より、最終話の最後に「甘いものは人を幸せにします」というメッセージを入れたのは、今年の状況を踏まえてのことだったはずです。今年はこれまでにないことがたくさん起こってしまう1年で、そのうえ今も変わらず大変な状況にある人が多いけれど、コンビニスイーツでささやかでも幸せを感じてほしいという願いも込められていたのではないでしょうか。

今の社会状況を反映させた『#リモラブ』

前述の2作品とは大きく違って、明らかにCOVID-19の影響を受けた社会や会社の状況を描いていたのが『#リモラブ』です。ご時世とはいえ、ほとんどの人物が、常時マスクをした状態で登場してくるというのは、見慣れない光景だったのではないでしょうか。

波瑠さんが演じた、とある会社の産業医をしている主人公・美々は、消毒やソーシャルディスタンスを何度も唱え、感染予防対策を徹底するようにと冷たい態度を取ることもありました。

しかし美々がSNSを開いて自らを”草モチ”と名乗れば、そこには好意を寄せる相手がいて、しかもその相手が自分の会社にいるという事実を知るところから物語が展開していきました。

物理的な距離を保ちながら、人と心を通わせるとはどういうことなのか、こうした状況下で人と恋愛・恋人関係になるにはどうすれば良いのか、探りながら進む美々の様子に共感した人も多かったはずです。

SNSで文面を通してやりとりをしている分には最高の相手であっても、面と向かって対話しようとすると、考え方に違いがあり、生活習慣やスタイルの違いで相容れない部分があることに気づくときがあります。そんなシーンも組み込まれていたことで、対面でのコミュニケーションの大切さにも改めて気付かされました。

COVID-19の影響を受け、リアルに混乱状態にある今を踏まえた作品だったからこそ、新たな生活様式のなかでの人間関係について考えさせられた作品だったといえるでしょう。