いよいよ2020年の終わりも見えてきました。2020年は、なんといっても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を多大に受け、世界も、日本も大きく変化した1年でした。エンタメ業界においても、舞台やコンサートは中止や無観客での開催に変更、映画館も一時休業に追い込まれ、多くの映画作品が公開延期となりました。
日々のルーティンにしている人も多いであろう「大河ドラマ」と「朝ドラ」は異例の一時撮影休止、ほかの連続ドラマも話数を短縮して放送終了した作品が多数ありました。やっと通常通りのスケジュールに近づいた10月スタートの年内最後の連ドラでは、コロナ禍の現在の状況を踏まえたストーリー展開された作品もあり、「ニューノーマル」とはいえ、ウイルスとともに生活していくことがノーマルになりつつある様子をうかがわせました。
今回は、10月クールのドラマの中から「恋×仕事」をテーマにした3作品『この恋あたためますか』(TBS)、『姉ちゃんの恋人』(関西テレビ)、『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ)をメインに、2020年のテレビドラマを振り返りたいと思います。
「幸せに片思いし続けること」を語りかけた『姉ちゃんの恋人』
有村架純さん主演ドラマで、ドラマのタイトルにもなっている”姉ちゃんの恋人”を演じたのが林遣都さんでした。有村さん演じる桃子の弟であり、安達家の長男である和輝(高橋海人さん)が作品の語りを担当する形でストーリーが進行するドラマでした。
林さん演じる真人は、かつての恋人をトラブルから守ろうとするあまり、見知らぬ人に暴力を振るって、自分が加害者として逮捕されてしまうという過去を持っていました。物語が進む中でそうした過去が明かされていきましたが、その事実を知った桃子との距離は遠くなるどころか近づいていき、最終的にふたりは恋人同士として幸せをつかみました。
桃子が真人のこれまでの過程を受け入れ、それでも一緒に幸せになりたいと願い、真人の手を離さなかったことが、ふたりの幸せな結末につながったのでした。
最終話、和輝は語りのなかで「生きるということは、幸せに片思いし続けることかもしれない」と視聴者に訴えかけています。作中で<コロナ>というワードが出てきたわけではありませんでしたが、社会全体として、悲しくつらい、苦しい出来事が多かった1年に対して、語りかけていた言葉と取れる内容でした。
まだまだ先の見えない状況の中にいますが、和輝が「今を生きるぼくらみんなが、幸せにちゃんと片思いしていればきっと大丈夫。この星は壊れない」と締めくくった言葉には、胸を打つものがありました。