昨今、離婚も珍しくなくなりました。厚生労働省が2019年 12 月 24 日に発表した「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計」によると2019年の離婚率は1.70、離婚件数は21万組にも及びます。じわじわと減少する婚姻率に比べ、離婚率は少しずつですが上昇しています。

離婚の原因には「性格の不一致」や「DV」などさまざまな理由が挙げられますが、今回は自身のW不倫によって離婚をした男性に話を伺いました。

すべてを失った男性の後悔 

都内に住む50代の田中さん(仮名)は、現在日雇いの仕事をしながら生計を立てています。今ではアパート1人暮らしで生活している田中さんですが、1年前までは元妻と高校生の娘とともに戸建で暮らしていました。

「1年前と今では、生活が一変しました。家や仕事、そして家族も失いました。すべて自分の自業自得からなので、文句はいえません。ですが……愚痴をいいたくなりますよね」

そういって小さく笑う田中さんは、元々は大手企業の営業職としてバリバリ働くエリートでした。では順風満帆に見えたはずなのになぜ、すべてを失ってしまったのでしょうか。

妻を舐めていたW不倫 

田中さんがすべてを失った原因は、3年続いていたW不倫でした。

「当時は、へんな自信があってバレないと思っていました。もし妻にバレたとしても、一喝したらいうことを聞くだろうと考えていたのです」

傲慢に感じる田中さんの言動は、当時の環境にあったといいます。某大手企業の営業職として働き、収入も平均以上、元妻は専業主婦とあって“自分が食べさせてやっている”という思いが根強くあったのだとか。さらに元妻は田中さんの後ろをついて歩くような人で、逆らうこともありません。どんなワガママをいっても、文句もいわずに対応する、妻として最高の女性だったといいます。そんな元妻を舐め切っていた田中さんは、家族を大きく裏切ることに。

田中さんが不倫関係に陥った相手は、10歳年下の営業先受付嬢でした。

「アポを取っていた社長が予定を忘れていたため、受付に伝言を残したことが始まりです。すごく丁寧に対応してくれたのが好印象でした」

営業に行くたびに声をかけて距離を縮め、連絡先を交換してからは展開が早かったようで、気が付けば不倫関係まで発展しました。彼女も既婚者だったことから、互いのパートナーにはバレないように徹底して行動していたそうです。

「不倫が見つからないように、ルールを設けていました。
・家にいる間は連絡を取らない
・休みの日は会わない
・互いの家庭には干渉しない

このルールのもと、3年もの間彼女と不倫を続けていきました」

家族に疑われるような連絡や密会は避けていたため、会社には“営業”と偽って日中にホテルで待ち合わせしたことも。勤務中に密会すれば、妻にはバレないと考えていた田中さんは、安心しきっていました。

しかし、元妻はすべてお見通しだったのです。

妻の逆襲 

不倫関係が3年続いたころ、田中さんは元妻から離婚を告げられました。

「まさに青天の霹靂でした。元妻から『不倫しているのは知っている。離婚してほしい』といわれ焦りました。それでも、離婚して困るのは専業主婦の元妻の方だと思い、強気につっぱねていたのですが……元妻も本気でして、山ほどの証拠を提示してきました」

しかもこの証拠は、探偵などは雇わず自力で集めたというから驚きです。

「不倫が始まって半年ごろから、元妻は気付いていたそうです。そこから、私の持ち歩く鞄にGPSと盗聴器をつけていたようで。帰ってきたら、鞄はそのまま元妻に渡していたので、取りつけや回収は簡単だったといいます。メールは自宅パソコンに転送されるように設定し、日中会う約束をすれば、その場に出向き証拠写真を撮る……という生活を2年半も続けたそうです」

言い逃れできないほどの証拠の数々に、田中さんは離婚に応じるしかなかったといいます。元妻は慰謝料として自宅を請求し、娘の養育費を一括で支払うように求めました。田中さんはその要求に応じ、すべて一括で支払ったそうです。

「揉めるよりは、早めに解決したかったのでいわれた通り支払いました。彼女も離婚をしたら、そのまま再婚してもいいかな?と考えてもいて。でも、世の中はそんなに甘くはありませんでした」

元妻の復讐は、まだ終わっていなかったのです。

離婚・クビ……すべてを失った

離婚が成立し、慰謝料も養育費も一括で支払った直後、会社の上層部から呼び出しがあったという田中さん。その内容は、だれかからのタレコミで『勤務中に不貞行為を働いている、しかも相手は営業先の社員』と指摘があったそうです。

「その場でクビ宣告を受けました。彼女の夫からは慰謝料を請求しない代わりに、接近禁止をいい渡されました。彼女の方は離婚せずに、仕事を辞めたと聞きました。

私は一瞬で仕事も家も、そして家族も失ったのです。一度、こっそり前の自宅をのぞいたところ、売り物件になっていました。慰謝料も養育費も一括で払ったので、元妻から連絡がくることはありません。そこでやっと孤独を理解しました」

家庭崩壊させた50代男性の今は、ひとり寂しく過ごすだけのようです。不倫がここまで人生を狂わせるなんて、気づかなかったことが問題でした。もっと早くに家族の大切さに気づけていたら……と、後悔をし続けているそうです。

【参照】

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計

井口 小麦