中国は、新型コロナウイルスの健康危機とその経済的打撃からの回復速度において、間違いなく世界の他の国々を上回っている。パンデミックの封じ込めに比較的迅速に成功したこと、早期の景気刺激策の導入により、予想よりも早く生産活動が正常化したことで、中国の輸出が世界市場でシェアを拡大し、「感染症の影響を早く受け、早く脱出」した恩恵を受けている。
中国の景気回復は、製造業と投資が先行してけん引し、その後、ここ数ヶ月は出遅れていたサービス業や消費が拡大する、という2段階を辿っている。中国は2020年にプラス成長(+2%前後)を記録する唯一の主要経済国となる可能性が高く、2021年には成長率が長期トレンドを上回る+8.0%程度に加速すると予想される。
中国経済はすでに第2四半期に生産高/GDPでコロナショック前の水準に戻っており、2020年末までにほぼパンデミック前の「成長路線」に戻る態勢が整うことになる。
今後は消費とサービスが成長を主導
2021年に向けては、投資から個人消費へ、製造業からサービス業へ、また投資においてはインフラ・不動産投資から製造業の設備投資へと成長のけん引役がシフトしていくと予想される。個人消費は、雇用市場の改善と家計所得の回復に支えられるだろう。
新型コロナワクチンの普及が中国の経済活動の正常化に及ぼす影響は限定的であろうが、ウイルスの影響を最も受けやすい対人/消費者向けサービス部門の完全な回復には必要と見られる。