「東京都最低生計費試算調査結果」という名称を見て分かる通り、これが東京で生活するには最低必要とされる金額のようです。実際の調査では練馬区の他に八王子市でも試算されており、八王子市では住居費6万2500円、食費10万9833円、教育費2万8417円…等で月の費用が約50万円です。

都内でも場所によって住居費が大きく変わる一方、その他の部分はさほど変わりません。額面なのか手取りなのか、また都内でも練馬区か八王子市かで試算から受ける印象は異なります。それでも30代の4人世帯で「普通」に生きるためには、月50万円程度は必要なことがわかるでしょう。

生きている限り「普通」は何度も変わる

ここで考えてしまうのが、SNSでも度々見られた「普通って何だろう?」です。

学生時代、「週末は家でお昼過ぎまで寝て、ドラマや漫画を見てこもっているのが大好き」という友人もいれば、「土曜は必ず買い物やカフェ巡りをして、月1回は小旅行が普通」という友人もいました。個人に落とし込むと暮らし方はここまで違うものなので、2人それぞれにかかる費用に差があるのは容易に想像できます。

筆者も、これまでの人生を振り返ると、何が「普通」かは何度も変化してきました。乳幼児~高校生までの生活と、大学生で1人暮らしをしながらバイトをする生活、独身で社会人の生活、結婚後夫婦だけの生活、育児中の生活、そしてシングルマザーの生活では、お金の使い方も、働き方も、日々の過ごし方や選ぶ物も異なります。

社会全体を見ても「普通」の変化を実感します。今の30代が子どもの頃は、「会社員の父と専業主婦の母、子どもは2人、持ち家、車あり」が一般的でした。30年後の今は共働きが主流であり、子どもは1人というケースも多いもの。それどころか「結婚しない」「子どもを持たない」という選択肢も増え、それも珍しいことではなくなっています。