日本人の平均寿命は、2019年の調査で男性が81.41歳、女性が87.45歳(厚生労働省「簡易生命表 令和元年」)です。65歳で定年を迎えるとすると、男性で15年以上、女性なら20年以上生きることになります。
そうなると、老後資金が底をつくのではないかという不安が頭をもたげてくるかもしれません。そこで今回は、老後資金をしっかり貯めてこなかった後悔を感じている人たちに話を聞いてみました。彼らの話を参考に、後悔しないような人生設計を考えていきましょう。
バブル期の思い出を引きずり、貯金をせずに来たこと
「バブル期のいい思いを引きずって、なかなか生活水準を下げられなかった」と話すのは、50代後半のAさんです。Aさんはメーカー勤務でしたが、バブル期の恩恵を受けて若い頃はかなり景気がよかったのだそう。そのときに身についた「お金の使い方」が彼を苦しめていると言います。
「どうも貯金という発想がなかった。若い頃はとりあえずお金を稼いで、お金を使って、遊んでという感じだったから、貯めることなんて考えていなかったし、周囲もそうだったと思う。公務員なんてつまらない職業だと言われていた時代だったから」と振り返ります。
「バブルが崩壊した後、ぐっと気持ちを引き締めてお金を貯め始めていたらよかった。でも、それができないまま転職して年収が下がってしまったし、結婚して子どもができて、子どものことでお金がかかったし、今の会社の退職金もたいしたことはない。このまま老後生活をどうしようかと悩んでいる」と嘆きます。