国税局の「民間給与実態統計調査」によると、令和元年(2019年)度の給与所得者の平均年収は436万円でした。平均年収に近い世帯であっても、「給与が増えたらもっと生活に余裕ができるのに…」と嘆いている人は多いでしょう。

そんな中、年収1,000万円を超える世帯が全体の5%存在します。年収1,000万円もあれば、裕福で余裕のある暮らしを送っているだろうと思うものですが、実はそうでもないようです。この記事では、年収1,000万円でも生活が苦しい理由について解説します。

年収1,000万円でも10.3%の家庭は貯蓄ができていない⁈

まずは、年収1,000万円世帯の貯蓄がどれくらいあるのかについて見ていきましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯、令和元年)」(2019年)より、年収1,000万~1,200万円世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は以下のようになっています。

  • 金融資産非保有 10.3%
  • 100万円未満 3.4%
  • 100万~200万円未満 1.4%
  • 200万~300万円未満 2.7%
  • 300万~400万円未満 3.4%
  • 400万~500万円未満 4.8%
  • 500万~700万円未満 8.9%
  • 700万~1,000万円未満 6.8%
  • 1,000万~1,500万円未満 18.5%
  • 1,500万~2,000万円未満 8.9%
  • 2,000万~3,000万円未満 10.3 %
  • 3,000万円以上 15.1%
  • 無回答 5.5%

貯蓄額の平均は1,790万円、中央値は1,010万円となっており、多くの世帯ではしっかり貯蓄ができているといえるでしょう。しかし、金融資産非保有、つまり将来のための貯蓄が全くできていない世帯が10.3%いるという結果になっています(※ここでいう「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯をいいます)。

年収1,000万円もありながら将来のため、または運用のための貯蓄ができていない世帯が、全体の約1割も存在しているのです。十分な稼ぎがありながら、なぜ貯蓄ができない状況に陥ってしまうのでしょうか。