1.年収1,000万円世帯は税金や社会保険料の負担が多い

年収1,000万円世帯の生活が苦しい理由のひとつに、年収1,000万円を超えると税金や社会保険料の負担が大きくなることが挙げられます。

日本の所得税は「累進課税」といって、収入が多くなるほど税率が高くなります。例えば、年収600万円の人は所得税率が10%なのに対し、年収1,000万円の人は20%という具合です。ただし、実際には税率は課税所得によって決まるため人によって異なります。また、住民税は一律10%ですが、収入が多ければ当然納める税金の額も多くなります。

そのほかにも、健康保険料や厚生年金保険料なども年収が多いほど高額になる計算です。年収が1,000万円だとしても、社会保険料・所得税・住民税を引くと、手取り金額は720万円ほど。ボーナスが年に2回、月収の2カ月分ずつもらえるとすると月収はたったの45万円となります。

年収1,000万円でも、案外もらえるお金は少ないなと感じたのではないでしょうか。

2.児童手当や高校無償化も年収1,000万円世帯は対象外

さらに子どもがいる年収1,000万円世帯にとって痛いのが、「児童手当」や「高校無償化」などの対象外となることです。

児童手当とは、中学生以下の子どもがいる世帯に支給されるものです。原則、子ども1人につき3歳未満は月1万5,000円、3歳~小学生は月1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は月1万円が支給されます。手当には所得制限があり、所得が960万円(専業主婦世帯・子ども2人の場合)を超えた場合は「特例給付」として子ども1人あたり一律5,000円の給付となります。

そして現在(2020年12月時点)政府は、2022年10月をめどに、夫婦どちらかが年収1,200万円以上になれば支給を打ち切るとの方針を明らかにしています。

また、高校無償化とよばれる「高等学校等就学支援金制度」では、授業料の給付を受けられる人の年収目安は910万円未満となっています。

2020年4月からは私立高校授業料の実質無償化として金額の拡張がなされましたが、年収590万円未満の世帯が最大39万6,000円の支給を受けられるのに対し、年収1,000万円世帯への給付はこれまで通りゼロのままです。

このように、年収1,000万円世帯はさまざまな制度での優遇がされないため、かえって生活が苦しくなってしまうのです。