介護による肉体的疲労がある人の割合
介護期間3年以内(N=162)
- 短時間勤務している…19.1%
- 短時間勤務していない…68.5%
- 所定労働時間不定…12.3%
介護期間3年超(N=190)
- 短時間勤務している…24.2%
- 短時間勤務していない…62.6%
- 所定労働時間不定…13.2%
介護による精神的ストレスがある人の割合
介護期間3年以内(N=242)
- 短時間勤務している…15.3%
- 短時間勤務していない…72.3%
- 所定労働時間不定…12.4%
介護期間3年超(N=256)
- 短時間勤務している…19.5%
- 短時間勤務していない…66.0%
- 所定労働時間不定…14.5%
では、これらのデータを整理してみましょう。
離職率について
勤務先に介護休業制度が「ある」場合は、「なし・わからない」場合と比較すると、介護期間が3年を超えても離職率の大幅な増加はみられません。さらに、同調査では、勤務先の制度において介護休業を分割取得できる場合は特に離職率が低い、という結果も出ています。
心身の健康への影響について
総体的に「短時間勤務」があったほうが、肉体疲労、精神的ストレス、病気やケガ「あり」の割合は低いようです。ただ、介護期間が3年を超えると、肉体疲労や精神的ストレス「あり」の割合が高くなる点が指摘されています。
多くの場合、介護を行う期間が長ければ、それだけ、被介護者の要介護度は上がっていくことが多いといえるでしょう。各企業が、介護と仕事の両立支援制度をととのえていくことで、介護の長期化にともなう離職を抑制する効果があるといえそうです。
次では、仕事と介護の両立をしている人が、どのくらいいるのかをみていきます。
仕事と介護の両立をしている人はどれくらいいるの?
要介護者の増加に伴い、介護をする人の数も増えています。総務省統計局の「就業構造基本調査」(※)によると、家族に要介護者がいる人のうち有職者、つまり介護と仕事を両立している人の数・割合は以下です。
- 2012年…約291万人(有業率:男性65.3%/女性44.9%)
- 2017年…約346万3,000人(有業率:男65.3%/女49.3%)
介護は育児と違って「いつまで続くか」がわかるものではありません。冒頭の調査結果が示すとおり、長期化すれば両立は厳しくなっていくでしょう。最終的に介護離職を考えるしかない状況に陥ってしまうことも考えられます。
※2012年:「平成24年就業構造基本調査」総務省統計局、2017年:「平成29年就業構造基本調査」総務省統計局