少子高齢化の進行にともない、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年まであと4年。介護する側の人も確実に増えるでしょう。はたらき盛りの世代の「介護離職」も社会問題化しています。

介護支援の制度が充実してきたとはいえ、介護と仕事の両立は簡単なことではないでしょう。今回は、介護離職の現状や、仕事と介護の両立をするために知っておくべき制度についてみていきます。

介護が長期化するほど、両立はより厳しくなる

独立行政法人労働政策研究・研修機構は、2020年3月に「家族の介護と就業に関する調査」の結果を公表しています。同調査は、介護離職や家族介護者の就業実態を探る目的で実施されたものです。その結果の一部をご紹介していきます。

さいしょに、勤め先に、介護と仕事の「両立支援制度」があるかどうかで、「離職率」や「心身の負担」はどう変わっていく傾向があるのか、みていきます。

「要介護状態」が始まってから介護が終わるまでの離職率

介護期間3年以内

  • 介護休暇制度:「ある」…0.8%、「ない・わからない」…0.7%
  • 所定外労働免除制度:「ある」…0.0%、「ない・わからない」…0.8%
  • 短時間勤務制度:「ある」…1.5%、「ない・わからない」…0.6%
  • フレックス制:「ある」…3.1%、「ない・わからない」…0.4%
  • 時差出勤制度:「ある」…0.0%、「ない・わからない」…0.8%

介護期間3年超

  • 介護休暇制度:「ある」…10.5%、「ない・わからない」…17.4%
  • 所定外労働免除制度:「ある」…4.5%、「ない・わからない」…17.3%
  • 短時間勤務制度:「ある」…4.5%、「ない・わからない」…18.1%
  • フレックス制:「ある」…11.3%、「ない・わからない」…17.1%
  • 時差出勤制度:「ある」…6.1%、「ない・わからない」…17.9%