[2]個人型確定拠出年金「iDeCo」

長期間かけて少額から資産形成していく方法として、個人型確定拠出年金「iDeCo」もあります。「iDeCo」は投資であり元本保証もありませんが、年間の掛金(積立金)は所得控除の対象となり、60歳以降の受け取り時にも税制面の優遇があります。保険とは異なり病歴等も不問で、誰でも加入することができます。

資金の一部を価格変動のある金融商品で運用してみるという選択肢として、考えてみてはいかがでしょうか。

[3]「つみたてNISA」

「iDeCo」以外にも非課税制度が利用できる投資運用方法として「つみたてNISA」があります。「つみたてNISA」は、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる分配金と譲渡益が非課税になる制度です。「つみたてNISA」の受取方法は年金型ではありませんが、最長20年間、非課税枠を利用できます。

[4]老齢年金の繰下げ受給

老齢年金の受給について「繰下げ受給」(※3)という方法もあります。これは65歳からの年金受給を66歳以降に繰り下げて受給すると、年金額が増額される制度です。現在は70歳までとなっている繰り下げ年齢が、2022年の4月から75歳まで繰下げられるようになります。繰下げによって割り増しとなる率は、0.7%×繰下げた月数分となるので、仮に70歳まで繰下げると42%(=0.7%×5年×12カ月)の割り増しとなります。これが一生続きますので、メリットとなる可能性があります。

[5]老後も就労する

老後も働くことを検討してはいるものの、「在職老齢年金」(※4)が気になる方もいるかもしれません。

在職老齢年金は仕事を続けて厚生年金保険の被保険者となる場合、給料と年金の額によっては、年金の全部あるいは一部が支給停止となる制度です。現在は60歳から64歳までの人が月給(総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計)28万円を超えて働くと、年金の全部または一部が支給停止となりますが、2022年から上限額が変わります。基準が47万円に引き上げられる予定で、65歳以上の人と同様、月給47万円が支給停止の基準となります。老後も働き続けることにより、上記[4]のような繰下げ受給も検討しやすくなりそうです。

さいごに

老後、公的年金だけでの生活は厳しく、医療費や介護費なども増える可能性があります。老後の就労や生活水準の見直しも含めて、早めのライフプランの作成や現役時代からの資金準備が重要となるでしょう。また金融庁の老後2,000万円問題はモデル世帯にいえることであり、例えば無収入の期間があったり年金の保険料を払えていない時期があったりすると、老後資金はもう少し必要になるかもしれません。「ねんきん定期便」を確認するなど、自分の現状を把握していくことも大切だといえます。

参考

(※1)金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書
(※2)「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯) 第8-30表 各種世帯属性,貯蓄現在高,貯蓄・負債現在高の差額階級別世帯分布」総務省統計局
(※3)「年金の繰下げ受給」日本年金機構
(※4)「在職老齢年金について知りたい」公益財団法人 生命保険文化センター

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部