誰にでも必ずやって来る老後の時間。2019年に話題となった「老後2,000万円問題」も次第に忘れ去られつつありますが、高齢夫婦(夫65歳以上・妻60歳以上)世帯の場合、生活費の赤字額は毎月約5万5,000円と推計されています。収入が主に公的年金の場合は
- 20年間:5万5,000円×20年=1,320万円
- 30年間:5万5,000円×30年=1,980万円
トータルで約1,300万円~2,000万円の不足が見込まれます(※1)。今、教育費や住宅ローンに追われていて老後のことまでは考える余裕がない…という方も、今から準備できる対策法について見ていきましょう。
60代世帯の貯蓄状況は?
では、世の中の60代は2,000万円ほどの金額をしっかり貯めているのでしょうか。総務省統計局の家計調査報告書(※2)で世代別の貯蓄額を見てみましょう。
60~69歳(二人以上世帯)の貯蓄・負債の平均
貯蓄現在高:2,330万円
負債現在高:250万円
貯蓄から負債を引いた純貯蓄額は2,080万円となりました。「老後2,000万円」をひとつの目安とする時、全体の半分が達成できているように見えますが、これは平均値の話になります。貯蓄額ごとの世帯数の分布も見てみましょう。
60代(二人以上世帯)の貯蓄現在高階級における世帯数(10万分比)
100万円未満:1,928世帯
100~300万円:1,431世帯
300~500万円:1,441世帯
500~700万円:1,617世帯
700~900万円:1,243世帯
900~1,200万円:1,624世帯
1,200~1,400万円:1,059世帯
1,400~1,600万円:773世帯
1,600~1,800万円:892世帯
1,800~2,000万円:727世帯
2,000~2,500万円:1,657世帯
2,500~3,000万円:1,321世帯
3,000~4,000万円:1,810世帯
4,000万円以上:3,804世帯
総数:2万1,327世帯
60代の世帯(二人以上世帯)でもっとも多い貯蓄区分は「4,000万円以上」(全体の約17%)であり、「貯蓄額100万円未満」も全体の約1割となっています。貯蓄の平均値は約2,000万円であるものの、貯蓄格差が非常に大きいことが分かります。また、貯蓄2,000万円以上に該当する世帯は8,592世帯(60代全体の4割程度)ということになります。