ただ、気になるのは『財産分与』

10年ほどで1000万円をコツコツと貯めたAさんの努力は素晴らしいものです。しかし、ここで気になるのは、いざAさんが目指す『離婚』が実現したときの『財産分与』です。このお金は、全額Aさんのものになるのでしょうか?

法務省のサイトによると、離婚時の『財産分与』は、以下のように説明されています。

財産分与とは

離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。
財産分与は、(1)夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配、(2)離婚後の生活保障,(3)離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質があると解されており、特に(1)が基本であると考えられています。

財産分与の額

夫婦の財産の清算を基本として、「財産分与とは」で述べた(2)と(3)の要素も考慮しながら,まずは当事者間の協議によって金額を決めることになります。
当事者間で協議が調わないときや、協議をすることができないときは、家庭裁判所に調停又は審判を申し立てることができます。

家庭裁判所の審判では,夫婦が働きをしているケースと、夫婦の一方が専業主夫/婦であるケースのいずれでも,夫婦の財産を2分の1ずつに分けるように命じられることが多いようです。

財産分与の対象となる財産は、夫婦共有名義の財産か?

夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。

つまりは、夫が納得すればもらうことができるかもしれないけれど、、婚姻期間中に築き上げた財産である以上、基本的には折半ということになるようです。

まとめ

「婚姻中に築き上げた財産は基本的には折半」となると、Aさんのように「離婚の準備」が貯めるモチベーションになっていた人は、「せっかく貯めても、全額私のものにはならないの?」と、ちょっとがっかりしてしまうかもしれませんね。ただ、お金があるに越したことはありません。将来的な夫婦の形がどうあれ、堅実に貯めるという行動は続けていくことをおすすめします。

厚生労働省『人口動態統計』(令和元年度の同居期間別の「離婚件数」)

中川 雅美