公的年金と老後の生活費、比較してみた
公的年金額と老後の生活費を比較してみましょう。まず、夫婦ともに正規雇用等で継続勤務してきた場合、
- 夫 16万3,840円+妻 10万2,558円=約27万円
となり、前述の「最低日常生活費(平均22.1万円/月)」はクリアしていますね。ただ「ゆとりある老後の生活費(平均36.1万円/月)」には届かなさそうです。
一方、夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった場合、年金受給額は
- 夫 16万3,840円+妻 5万3,342円=約21.7万円
となり、最低限度の生活費(平均22.1万円/月)をギリギリ賄えるかどうかというラインになるようです。ただこれらは平均値ですので、「ねんきん定期便」などで各自の加入実績に応じた年金額などを把握しておく必要があります。
老後の生活で赤字が出た場合は、蓄えを取り崩して補填することになります。仮に毎月、赤字が5万~10万円発生したとすると、
- 20年間:(5万~10万円)×20年(×12カ月)=1,200万円~2,400万円
- 30年間:(5万~10万円)×30年(×12カ月)=1,800万円~3,600万円
老後にこれだけの不足額が想定されます。老後の生活には住居費も大きな支出となりますが、住まいが持ち家であっても固定資産税や維持修繕費が必要になることもあります。借家住まいであれば家賃の負担がずっと続きます。いずれ老人ホームにと思っていても、費用を抑えられる「特別養護老人ホーム」は要介護認定により利用の可否が決まります。また、民間の「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」などは快適で手厚いサービスが受けられますが、入居時一時金として数百万円から数千万円もの費用がかかるケースもあるようです。
退職金2,000万円、何年勤めればもらえるのか
老後に向けて頼みの綱となる退職金について、漠然と「そんなに少なくはないだろう」と考えている人もいるかもしれません。退職金は年金給付と同じくらい老後生活を支える重要な資金ですが、金融審議会の報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、1997年の平均退職給付額(全規模)は3,203万円だったのに対して、20年後の2017年は1,997万円となり1,200万円ほど減少しているのです。定年退職金の平均的な支給額について現在の傾向を見ていきましょう。