リスクに備える必要性
また、それまでとは違うケガや病気のリスクも当然あがります。厚生労働省がとりまとめた「平成29年(2017)患者調査」によると、外来患者の5割、入院患者の7割が65歳以上であるそうです。節約・保障のバランスを考えて保険の見直しをするなど、これまでとは違う目線でリスクに備えておくことも必要になるでしょう。
年金生活に入ると、貯蓄を取り崩しながら暮らすスタイルに移行する人がほとんど。今持っている貯蓄と年金で、毎年いくら、しいては毎月いくら取り崩せるのかをしっかりシミュレーションしておくことが大切です。老後は予測のつかない支出が増えることもあります。将来使えるお金を可視化しておくことである程度のリスクをイメージでき、いざというときにも対応しやすくなるのではないでしょうか。
今からできる資産形成
2000万円といった実感のわかない数字だけ提示されても、「そんなに貯められそうにない」と不安になってしまうかもしれません。しかし、今から将来を見据えた準備をしておけば、「支出を見直して、もう少し節約しよう」「無理なく働ける仕事を続けよう」と早めに打つ手を考えることもできます。
今から資産形成をはじめることも可能です。リスクが少なめの投資をしたいなら、「つみたてNISA」がおすすめ。節税効果もあり、分配金や譲渡益に所得税や住民税はかかりません。また、自分が拠出した掛金を自分で運用する「iDeCo」も、節税しながら私的年金の準備をすることが可能です。
雇用や年金の不安も尽きない今。将来の不安もひとつずつ解決し、できることから取り組んで後悔のない老後を迎えたいものですね。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参照】
生活保険文化センター「生活保障に関する調査」
金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」1. 金融資産の状況等 4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」
生活保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査」
古谷 梨子