1000万円では足りない⁉どんな支出が想定できるか

しかし、1000万円あれば老後は安心なのでしょうか。生活保険文化センター「生活保障に関する調査」および「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」から、老後生活についてみてみましょう。

データによると、夫婦2人の老後日常生活費は平均22.1万円。旅行や趣味といったゆとりのある生活のために上乗せする額は平均14万円でした。充実した老後を過ごすためには、だいたい36万円ほどをイメージしておくと分かりやすいかもしれません。単純計算すると1年に432万円の支出、20年で8640万円、30年ならば1億円をゆうに越します。

これが年金や貯蓄のバランスと大きくかけ離れるようであれば、生活の見直しや資産運用を視野にいれる必要が出てくるでしょう。貯金も1000万円あれば十分という人もいれば、足りない人もいるはずです。1000万円でまかなえるのかどうかは、個々の支出バランスによるところが大きいといえます。

また老後生活にかかる大きな支出のひとつに「介護」があげられますが、世帯主・配偶者が要介護となった場合の経済的備えについて、「不安」と答えたのは75.2%。介護期間は平均4年7か月、在宅(平均4.6万円)・施設(平均11.8万円)と介護場所によっても支出に違いが出ています。施設利用の11.8万円を4年7か月続けた場合643.1万円が別途必要になるわけですが、これは要介護度などにもよるので個人差が生まれやすい部分でもあります。