年末調整の季節がやってきました。会社から支給される手当には、役職手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、出張手当、資格手当などいろいろありますが、これらの手当で給与に含まれるもの、含まれないものを分けることができますか?給与に含まれれば当然所得税の対象となり、社会保険料にも影響します。この機会にいろいろある手当について知っておきましょう!
手当にはどんなものがある?
給与明細は基本給、割増賃金、手当の3つで構成されています。割増賃金とは、残業手当や休日出勤手当などの支払い義務が法律で定められている手当のことです。それ以外のこれから紹介する手当は「会社が任意で支給する手当」です。どんなものがあるのか見ていきましょう。
役職手当
職務に応じて支給する手当です。管理的立場にある主任手当や課長手当、また、技術に対しての職能手当などがあります。
家族手当
従業員が扶養する配偶者や子供に対する手当です。扶養人数に応じて手当の額が設定されるなど、従業員の生活支援を目的に支給されます。
住宅手当
従業員の住宅ローンや家賃の一部の補助を目的に支給される手当です。他に住宅関連の補助としては、社宅や社員寮があります。
通勤手当
通勤にかかる費用を企業が負担するものです。公共の交通機関の定期代のみとするものから自家用車のガソリン代なども対象にする場合もあり、多くは就業規則で限度額が決められています。
出張手当
出張時の食事代や雑費に対して、あらかじめ決められた額を手当として支給するものです。一般的に交通費と宿泊費は実費精算となります。
資格手当
従業員のスキルアップを目的に、企業が指定する資格を取得した場合、あるいは保有している場合に資格手当が支給されます。
食事手当
勤務時間内の食事代金を補助するための手当です。支給の方法はさまざまで、現金支給、現物支給、食券支給などがあります。
非課税になる手当はどれ?
これらの手当のうち、所得税が課税されない(非課税となる)手当はどれでしょうか。
答えは‥
通勤手当、出張手当です。
ただ、非課税となる条件があるので、それぞれ見ていきましょう。
通勤手当
非課税となる限度額が国税庁にて定められています。電車やバスを利用して通勤している場合は、最も経済的かつ合理的な経路および方法を使ってかかった費用が非課税となり、限度額は1カ月15万円となっています。また、新幹線の利用も上記に当てはまっていれば、非課税となりますが、グリーン料金は含まれません。(参照:「電車・バス通勤者の通勤手当」国税庁)
マイカー通勤の場合は片道の距離によって限度額が異なります。
出張手当
出張手当は給与扱いではないため、所得税がかかりません。ただし、通常必要と認められる金額となっています。企業側も常識的な金額を設定する必要があります。
課税されないケースもある手当
原則、所得税が課税されますが、以下のケースに当てはまる場合は非課税となります。
食事手当
食事手当は現金で支給する場合、所得税が課税されますが、現物支給や食券支給の場合は、
以下の2つの要件を満たしている場合、給与として課税されません。
- 従業員が食事の価額の半分以上を負担している
- (食事の価額)-(従業員が負担した金額)=1カ月当たり3,500円(税抜)以下
※残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても全額非課税となります。
(参照:「食事を支給したとき」国税庁)
住宅手当
住宅に対する補助を「社宅手当」とすると、非課税になる場合があります。
条件としては、会社が契約し、従業員に社宅や寮として貸している場合で、従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。(参照:「使用人に社宅や寮などを貸したとき」国税庁)
この2つのケースは手当として給与に反映されているわけではなく、会社が負担してくれる分、支出が減っているということなので、所得税といわれてもピンとこないと思います。しかし、通常の手当として支給した場合には給与扱いとなり、当然そこには所得税がかかり、社会保険料の負担も増えます。手当のあり方は手取り額が増える要因になるのです。
手当と年収の関係
残業手当や休日出勤手当などの法律で規定されている手当以外は、会社は自由に手当を設けることができます。そのため、独自の手当を創設して社風を表すなど、手当を売りにする企業もあります。たばこを吸わない人に手当を支給したり、自転車通勤者に手当を支給するなど、ユニークな制度を取り入れている企業もあるようです。
しかし、手当にばかり頼るのも問題があります。基本給+手当=月給とした場合、A社は手当なしで月給30万円、B社は手当5万円を入れて月給30万円だった場合に、ボーナスは一般的に基本給を基準とするため、ボーナスが同じ4カ月分なら、手当がないA社の方が年収が高くなります。このように、企業への就職を考えている人は、会社選びの一つの要素として手当に注目してみるとよいでしょう。
参考
「住宅手当は非課税になるのか?非課税の給与手当、標準報酬月に含まれる手当を徹底解説 」人事労務の基礎知識
国税庁
石倉 博子