最近、安全保障分野での協力を目的にオーストラリアのモリソン首相が日本を訪問し、日米印の合同軍事演習マラバールにオーストラリア軍が参加するなど、正に日米豪印のクアッド安全保障協力が加速化している。

一方、米国の同盟国である韓国はこれに深く関与していない。

その背景には中国への配慮がある。中国の王毅外相が11月25日から3日間の日程で韓国を訪問し、習近平国家主席の早期訪韓についても議論されるとみられ、米中対立が高まる中、韓国はまさに大国の板挟み状態にある。

対日、対北でもバイデン政権のスタンスと乖離

また、同盟国への役割を期待しながら国際協調主義を重視するバイデン政権が、対中を意識して韓国に日本との関係改善を求めてくる可能性もある(これは日本にも求めてくる可能性もある)。

しかし、これについても文政権がすぐに応じる可能性は低いだけでなく、日韓が相互に歩み寄ることも考えにくい。

さらに、バイデン氏は基本的にオバマ政権の戦略的忍耐を継承するとみられ、北朝鮮が核・ミサイル問題で進展を見せないと歩み寄ることはないだろう。

よって、バイデン政権になると、北朝鮮が再び瀬戸際外交や核実験、ミサイル発射などを仕掛けてくる恐れがあるが、文大統領のスタンスは北への宥和路線であり、バイデン氏とどこまで北政策で一致できるかは分からない。

バイデン政権になっても、米韓関係の改善には多くの課題があるといえる。

和田 大樹