老後の生活にどんな不安を感じているのか
ここまで貯蓄の必要性をご紹介しましたが、実際の老後生活にどんな不安を感じているのか、生命保険文化センターによる意識調査から確認してみましょう。
老後生活に対する不安の内容(複数回答可)
- 公的年金だけでは不十分…82.8%
- 日常生活に支障が出る…57.4%
- 退職金や企業年金だけでは不十分…38.8%
- 自助努力による準備が不足する…38.5%
- 仕事が確保できない…31.6%
- 配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる…21.9%
- 貯蓄等の準備資金が目減りする…16.0%
- 子どもからの援助が期待できない…13.8%
- 利息、配当収入が期待どおりにならない…11.5%
- 住居が確保できない…5.4%
- その他…0.7%
- わからない…0.3%
「公的年金だけでは不十分」という回答は8割を超えているだけでなく、「退職金や企業年金だけでは不十分」、「自助努力による準備が不足する」と考える割合もそれぞれ38%と比較的高い割合となっています。
長い老後生活を送るには年金や退職金では足りず、自助努力で準備する老後資金でも足りないかもしれないと危惧されている方が多いことが分かります。
また、「利息・配当収入が期待通りにならない」と回答されている方は11.5%いる事から、自助努力として資産運用を始めた方が課題を抱えていることもみえてきます。
日本は体系だったお金の教育が無かったことから資産運用の後進国と言われています。
世間の流れが資産運用に向いたとしても、これまで経験がなかったことを自力で行うのは一筋縄ではいかないのかもしれません。
とはいえ、預貯金だけでお金が増える時代でもありませんから、資産運用は誰にも共通する課題となりそうです。
まとめにかえて
50代は、自分の老後生活というものをリアルに捉え始める年齢です。
セミリタイアして第二の人生を送りたいと考える方もいれば、定年後も働ける内は働きたい方、退職金と年金を受け取り老後の生活を始める方もいるでしょう。
人生お金が全てではありませんが、どの選択にしても貯蓄や資産があるほど希望を叶えやすくなるのは確かです。
定年までに支出を見直してみる、いまから資産運用を検討するにあたって方法が分からない場合には専門家に相談してみるなど早めに行動していきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)9月分」
- 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯)」
- 生命保険文化センター「生活保障に関する調査/令和元年度」
尾崎 絵実