年齢が上がるほど年収が高くなりやすい日本では、世帯主が年上だとお金の面でのメリットを感じやすいかもしれませんね。また、年齢が離れているものの、それを感じさせないほど円満な夫婦もたくさんお見かけします。
そんな「いい夫婦」のみなさんにも、いつかは老後生活がやってきます。多くの人にとって老後生活の主な収入源となる「年金」について、ちょっと気になっている方もいるのでは?
そこで今回は、「年の差夫婦の年金」にフォーカスしていきます。
まずは、年金制度のおさらいから
日本に住む20歳以上60歳未満の人全員に、「国民年金」への加入義務があります。それに加え、会社員や公務員は「厚生年金」にも加入しています。厚生労働省の資料(※)によると、2018年度末における平均年金月額は、厚生年金保険(第1号)が14 万6,000円、国民年金が5万6,000円でした。
この年金の金額は毎年見直しが行われており、2020年度の国民年金は6万5,141 円(満額)、厚生年金のモデル世帯は22万724円となっています。ただし、これはあくまでも「夫と妻は同年齢、夫は40年間会社勤務、妻は40年間専業主婦」というモデル世帯のケース。世帯主が年上の方は、「ウチの場合、年金はどうなるのかな?」と疑問を感じたのではないでしょうか。
実は、数ある年金制度の中に、年の差夫婦だけに適用されるものが存在します。では、一体どのような制度なのでしょうか。その内容を詳しくみていきましょう!
加給年金とは?
給付対象:「会社員・公務員」が年下の配偶者を扶養している世帯のみ
「加給年金」とは、稼ぎ手が年金生活に入って収入が減ったときに、その人に扶養されていた配偶者や子が困らないようにするための制度です。対象者は、会社員や公務員で厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳になったとき、年下の配偶者や18歳未満の子の生計を維持している世帯。これに該当する場合、本人の厚生年金に「加給年金」が加算されます。
ではここで、「会社勤務をしていて厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あるA男さんと、妻のB子さん」という夫婦を仮定してみてみましょう。
A男さんが65歳になったとき、B子さんが55歳とすると・・・
B子さんが自分の年金をもらえるまでの期間(基本的に65歳まで)は、A男さんの厚生年金に「加給年金」が加算されます。2020年時点の「加給年金」は年額22万4,900円です。子を扶養している場合は、1人目と2人目の子については各22万4,900円、3人目以降は各7万5,000円が、その子が 18歳になる年度の末日まで加算されます。
さらに、生年月日によって段階的に設定された「配偶者加給年金額の特別加算額」もプラスされます。仮にA男さんの生年月日が1943年4月2日以降の場合は、16万6,000円が特別加算され、合計年額は22万4,900円+16万6,000円=39万900円となります。
仮にA男さんが65歳になったときにB子さんがすでに自分の年金をもらっていると、A男さんは制度の対象外となり、「加給年金」は加算されません。あくまでも「扶養している配偶者が年下の場合のみ」が対象となり、年の差が大きいほど貰える額が大きくなるのです。
加給年金が停止したあとの「振替加算」とは
B子さんの年金受給がスタートすると、A男さんに支給されていた「加給年金」は停止します。その代わり、B子さんの年金には一定額の「振替加算」が支給されます。
振替加算が適用されるのは、生年月日が1926年4月2日から1966年4月1日までの人のみ。また、「厚生年金の被保険者期間の月数が240月未満で、配偶者に生計を維持されていること」が条件となります。
また、1926年4月2日~1927年4月1日生まれの人には、配偶者の加給年金と同額の22万4,900円が支給されます。それ以降は段階的に減額され、生年月日が1966年4月2日以降の人では振替加算がゼロになります。
この場合、振替加算の対象者には自動的に加算が実施されるため、基本的に自ら手続きする必要はありません。
「世帯主が年上の夫婦」が注意したいこと
先ほどご紹介した加給年金を利用する際には、自分で手続きをする必要があります。なかには、受け取り資格があるにもかかわらず、制度を知らない人も少なくありません。損をしないためにも、必ず手続きを済ませておきましょう。
また、国民年金の保険料についても注意が必要です。会社員に生計を維持されている配偶者は、国民年金の第3号被保険者に該当するため、自分で保険料を支払う必要がありません。しかし、配偶者が定年などで会社をやめると、扶養されていた人は国民年金の第1号被保険者に変わります。
それに伴い、1カ月あたり1万6,540円(2020年度)の保険料を負担する義務が発生することに。配偶者が定年を迎える際は、それ以降の保険料の負担を考慮しておきましょう。
世帯主が年上の世帯が注意しておくべき点は、ほかにもあります。たとえば、住宅ローンを組む際は、年齢が高いほどローンを組める期間が短くなります。返却期間が短いほど毎月の返済額が増えるので、住宅を購入する際は計画的に進めましょう。
さいごに
人生のパートナーとは、これからの老後生活も一緒に歩むことになります。いまのうちに今後のお金について夫婦で話し合い、年金制度の情報や貯金の計画などを共有しておくのもいいですね。
夫婦仲が良好なだけでなく、お金の不安がない「いい夫婦」を目指しましょう。
【参考】
(※)「平成30年度(2018年度)厚生年金保険・国民年金事業年報 結果の概要(8ページ目)」厚生労働省
「令和2年度の年金額改定についてお知らせします」厚生労働省
「定年後のお金事情、老後の生活費はいくら必要か?」LIMO
「加給年金額と振替加算」日本年金機構
「65 歳より後に老齢基礎年金を受給できるようになった場合の振替加算の取扱いについて」日本年金機構
LIMO編集部