本家の米国では完全オンライン化目前

一方、本家の米国では、最近はブラックフライデー商戦が縮小気味となっています。原因は、アマゾン等のネット販売の拡大により、実店舗(リアル店舗)の閉鎖が相次いでいるからです。

記憶に新しいところでは、有名百貨店「シアーズ」を展開していた流通大手のシアーズ・ホールディングスが2018年に破産法を申請し、その後も多くの小売企業が倒産や廃業するなど小売業界の変革スピードは加速しています。

さらに、今年のコロナ禍で、ブラックフライデーのオンライン化が一気に加速する可能性が高まりました。実際、米国では小売店に殺到するブラックフライデー恒例のシーンは年々少なくなっているようですが、早ければ来年2021年には”殺到シーン”が消滅しても不思議ではありません。それくらい変革のスピードは速くなっています。

日本はオンライン化で周回遅れ?

日本でも、楽天、ヤフー、アマゾンなどのネット企業がブラックフライデーセールを実施します。しかしながら、イオンを始めとする各社が「来店時の注意」として密を回避するよう促していることを見ても、実店舗に足を運ぶ人がまだ多数派と考えられます。

日本でもコロナ禍によるオンライン化が進むと思われますが、まだ米国の変革スピードには付いていけず、周回遅れとなる可能性もあります。逆に言うと、今回のコロナ禍を受け、ブラックフライデーを始めとした大掛かりなセールのオンライン化を急加速させることが可能と言えます。

もちろん、オンライン化に伴う余剰人員や余剰店舗の増加といった“痛み”や“副作用”は避けて通れませんが、いつかは対応しなければならない課題でもあります。

日本の小売企業が、こうした痛みを極力避けようとするのは理解できますが、その分だけ変革スピードに乗り遅れているのは否めないでしょう。こうした点にも注意しながら、コロナ禍の中で迎える今年のブラックフライデーに注目しましょう。

葛西 裕一