日本の財政は破綻しないと筆者(塚崎公義)は考えていますが、それでもMMTは危険だと思います。まして、基軸通貨国のMMTは大変迷惑だ、と筆者は考えています。
新型コロナ不況への対応として、各国政府は巨額の財政支出を行なっています。それにより財政赤字が増えて、政府が破産する可能性が高まる、インフレになる、等と心配している人もいるでしょうから、数回にわたって財政を考えるシリーズを組むことにしました。今回は第4回です。
米国の新理論MMTは画期的だが危険
米国でMMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)と呼ばれる理論が話題になっています。自国通貨建てで国債を発行するなら、借金が返済不能になることはあり得ないのだから、インフレにならない限り財政赤字を気にしなくて良い、という考え方です。
新型コロナ不況への対策によって各国の財政赤字が巨額化するにつれて、再び注目を集めるようになっていますし、民主党左派が支持していることから、バイデン政権がこのまま成立すればMMTが一定の影響力を持つかもしれません。
主流派経済学からは厳しい批判を受けていますが、「日本は財政赤字が巨額だけれどインフレになっておらず、MMTの成功例と言える」などと言っているようです。