もちろん、鬼滅の刃の「漫画の世界観と造形美」がアニメーションの世界で花開いたことが決定打となったのは疑いの余地はありません。個性的な登場人物が一見してそれとわかる色や図案の衣装を着ていることも、あらゆる方面でグッズ展開しやすいというメリットがあります。

鬼滅の刃は一過性に終わらない?

メディアミックスを進めて成功するのに、展開の軸がしっかりしていることが最大にして唯一の条件というのは、ポケットモンスターを見るとよくわかります。大人気ゲームソフトの世界をアニメ化し、次いで映画化へと続きましたが、「基本はゲーム」というスタンスは変わりません。

子どもを通じて大ブームを体験した筆者が今こうして返ると、妖怪ウォッチブームは人々の欲望が一気に頂点に達し、そしてあっという間に潮が引いてしまった現象だったと感じています。

何事にも流行り廃りはあるもので、鬼滅の刃もいつの日かブームが落ち着く日がくるかもしれません。連載自体が終了しているため、今度どういう展開があるか多くのファンが固唾を飲んで見守っていますが、かつての妖怪ウォッチのような急速なお祭りの終焉を迎えることはなさそうです。子どもだけでなく、ママ世代の女性ファンなど世代を問わない人気も強みでしょう。

原作第7巻が無限列車の話に当たりますが、それ以降はまだアニメ化されておらず盛り上がる要素はまだまだ残っています。「そういえば、市松模様のマスクをしていた人っていたよね」と言われる日はまだまだ先のことになりそうです。

【参考資料】
CINEMAランキング通信 2020年11月9日付記事」(興行新聞社)
バンダイナムコ決算補足資料」(バンダイナムコホールディングス株式会社)

中山 まち子