公開初日に見に行った筆者の知人は、「映画館で人酔いをしたのは初めて」と口にし、身動きがとれないほど館内は親子連れで賑わっていたと教えてくれたのを覚えています。公開2日間での興行収入は16億円を超え、最終興行収入は78億円を記録しています(興行通信社調べ)。

妖怪ウォッチと鬼滅の刃の根本的な違い

2012年12月発売の小学館コロコロコミック2013年1月号で連載開始、2013年7月にニンテンドー3DSのゲームとして登場した妖怪ウォッチが、当初からメディアミックスを念頭に置いていたことはよく知られています。

そして、2014年1月に開始されたテレビアニメによって爆発的な人気となり、年末の映画公開へと慌ただしく駆け抜けていきました。バンダイナムコの2015年3月期決算では、妖怪ウォッチ関連グッズの販売が552億円を記録したことが明らかにされています。

しかし、一気にブームがきた後はその反動も大きく、近所に住んでいる子どもたちがこぞって遊んでいた「妖怪ウォッチを腕にはめてメダルを見せあう」という風景は急速に消え、その後二度と見ることはなかったのです。

一方、現在大ブームとなっている鬼滅の刃は、ご存知の通り「漫画でじわじわ人気が出てアニメ化」という流れでした。こうしたケースでは読者からの支持がなければアニメ化するのは難しく、「ある程度の利益が出そう」と判断されなければ実現しないものです。

大元の漫画作品が世代を超えて支持されている鬼滅の刃は、コロナ禍での自粛期間に連載のクライマックスに突入し、SNSで大きな盛り上がりを見せたことも現在の社会現象に繋がる人気に火をつけた大きな要因の1つでしょう。また、2019年のアニメ終了から劇場版まで約1年間のタイムラグがあったことで駆け足に終わらずに済んだ面もあります。