『ダブルケア』を強く意識するエピソードも
これぞ高齢出産ならではの問題。ダブルケアを強く意識するできごともあったそうです。切迫早産で入院するちょっと前、Aさんの実母が右腕を骨折してしまったのです。家事をしていたときに、足を滑らせてよろけ、とっさに手をついたところ、ヒビが入ってしまったのだとか。
「実両親とは歩いて5分ほどの距離での近居。長女の時は、保育園の送迎や長期休みの対応などを“ばあば”に頼ることが多かったんです。正直、2人目のときも少しアテてにしていた部分がありました。
でも、ちょっと手をついただけで骨折なんて・・・、まだまだ若いと思っていたけれど、親は確実に弱ってきているということですよね。さすがに、乳幼児の長時間の世話をお願いするのは無理だろうな、と思いました」
「母の腕が治るまでの間、何度か実家に手伝いに行きました。でも、自宅で家事をすませてから、さらに実家で家事・・・、という生活は意外に大変でした。妊婦だったということもあるかもしれませんけど・・・。
この一件で、乳飲み子と要介護状態の親、同時に面倒をみなくちゃいけなくなったらどうしよう?と考えずにはいられませんでした」
さいごに
芸能人の高齢出産がニュースになることも多く、40代での妊娠・出産が少しずつ浸透してきたようなイメージがあります。
「どっしり構えた気持ちで子育てができる」「若い頃とくらべると経済的な苦労が少ない」といったメリットが挙げられる高齢出産。でも、産み育てる自分自身の体力の低下や、親の高齢化といった、いかんもしがたい問題があることも、また事実ということなのでしょう。
Aさんは語ります。「でも、色々不安になることもあったけれど、子どもの寝顔を見ていると、そういうのも全部、吹き飛びます。やっぱり産んでよかった。下の子が成人する前に、自分自身が還暦を迎えてしまいますが、せめて見た目だけでも、若々しく見えるように、自分を磨いていきたい、というのが今の目標でしょうか(笑)」
【参考】
『人口動態統計(2019年)』厚生労働省
「NIPT」国立成育医療研究センター
「新型出生前診断(NIPT)とは」GeneTech株式会社
犬養 のぞみ