高度成長期に子ども時代を過ごし、バブル崩壊やリーマンショックなどの経済危機に瀕するなど、激動の時代を歩んできた50代。これまでの常識がどんどん覆され、時代のあおりをまさに身をもって体感することが多かった世代といえるでしょう。

定年を目前に控える50代ですが、貯蓄がない世帯も決して少なくありません。そんな老後破産予備軍ともいえる世帯は、今からどのようなことに取り組むべきなのでしょうか。さまざまなデータを参照しながら、50代の老後と現在について考えてみました。

50代は貯蓄を貯めにくい世帯?

まず、厚生労働省「国民生活基礎調査」(各種世帯の所得等の状況)から、50~59歳の平均所得・平均貯蓄額を確認してみましょう。

・平均所得金額:756万円
・平均貯蓄額:1,054万4千円

平均所得金額は50~59歳が全世代中最も高く、平均貯蓄額は60代・70代に次いで3位という結果です。また平均借入金額は546万8千円と、こちらも30代・40代に次いで3番目に多い額でした。

平均貯蓄額が1,000万円を超えていて驚いた人もいるかもしれません。しかし、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」によると、金融資産を持たない世帯も21.8%存在します。なんと5世帯に1世帯は貯蓄がない世帯なのです。

現代の50代は、年功序列や終身雇用の変化で雇用が不安定になっていたり、晩婚化によって子どもの教育費・住宅ローンの負担が残っていたりすることで、バブル崩壊前と比べると経済的に余裕のない状態であるといえます。手取りも減少傾向にあるものの、年齢とともに支出は増えるため、厳しい家計運営となっている世帯も少なくないようです。