2020年10月13日に行われた、株式会社高島屋2021年2月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社髙島屋 代表取締役社長 村田善郎 氏

1.連結業績

村田善郎氏:みなさま、こんにちは。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。社長の村田でございます。それでは、お手元の資料に沿いましてご説明いたします。

本日は、2020年度第2四半期実績と計画、コロナ禍における経営課題、「まちづくり」、財務方針、ESG戦略の順にご説明します。

はじめに、2020年度第2四半期実績についてご説明します。4ページは連結業績です。営業収益は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国内外の商業施設の休業や、営業時間の短縮などにより大幅な減収となりました。販売管理費は売上比例費などの減少に加えて、店舗休業関連の固定費を特別損失に計上したことにより大幅に減少しましたが、営業利益、経常利益、純利益ともに減益となりました。なお、店舗休業に伴う固定費の特別損失計上額103億円を、特別損失欄に記載しています。

2.国内百貨店業績

国内百貨店業績についてご説明します。営業収益は臨時休業に加え、外出自粛傾向が続き入店客数の回復が遅れていることなどにより、大幅な減収となりました。商品利益率は、臨時休業期間中も食料品のフロアを営業したことにより、低率の食料品シェアが増加し、前年を大きく下回りました。

販売管理費は、コスト構造改革による削減や売上比例費の減少に加え、店舗休業に伴う固定費の特別損失への計上もあり大きく減少しましたが、営業利益は前年から156億円マイナスという減益となりました。

2.国内百貨店販売管理費

国内百貨店の販売管理費の費目別実績はこちらの表のとおりとなっています。前年から193億円減少しましたが、この中には、店舗休業に伴う固定費の特別損失への計上額78億円を含んでおり、実質的には115億円の減少となりました。その115億円の内訳ですが、売上比例費が45億円、中止した催し関係の費用、あるいは店舗休業に伴い減少した光熱費が30億円、コスト構造改革による削減額が40億円となります。このコスト構造改革による削減額40億円の内訳ですが、人件費が14億円、庶務費が6億円に加えて、追加で対策を講じた宣伝費が11億円、総務費が5億円、経理費が4億円となります。

3.国内グループ事業(主要子会社業績)

国内の主要子会社の業績についてご説明します。東神開発は、ショッピングセンターの休業に伴うテナントへの家賃減免や歩合家賃の減少により、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズは、百貨店各店など加盟店の休業によるカードの取り扱いの減少により、また、髙島屋スペースクリエイツは一部工事の中断に加え、内装工事需要の急減によって、各社ともに減収減益となりました。

3.海外事業(主要子会社業績 1月~6月)

海外の主要子会社の業績はこちらの表のとおりとなっています。海外子会社については、2020年1月から6月の実績となります。各社とも臨時休業や時短営業を実施したため、減収減益となりました。なお、各社の営業状況については、本資料の最終ページに記載していますので、ご確認いただきたいと思います。

4.連結営業利益実績 増減要因

今期の連結営業利益の増減額についてはこちらのグラフのとおりとなっていますので、ご確認ください。コロナによるグループ商業施設の休業が大きく影響し、大幅な減益となっています。

1.年度計画 考え方

次に2021年2月期の計画です。11ページをご覧ください。2020年度は連結営業収益が6,820億円、営業利益は赤字で180億円を計画しています。計画の前提としては、国内百貨店において臨時休業は想定しない一方、引き続き外出を控える動きは続くと見られ、売上の回復も不透明であることから、直近の状況を考慮して、国内需要はマイナス15パーセント、インバウンド売上はマイナス95パーセントを想定しています。また、商業開発業においては、歩合家賃の減少やテナント支援による減収を織り込んでいます。

2.連結計画

連結の通期計画についてはこちらの表のとおりとなっています。下期においてもコロナ影響が続くことを想定し、減収減益の計画としました。営業収益の減収幅は、上期の前年比マイナス34.4パーセントから、下期はマイナス17.4パーセントに縮小する計画となっています。

3.国内百貨店計画

国内百貨店計画についてはこちらの表のとおりとなります。コロナ影響により入店客数の回復が遅れていることや、インバウンド売上の減少により、減収計画としました。コスト構造改革によって販売管理費の削減を図りますが、営業利益は減益の計画となっています。

3.国内百貨店計画 販売管理費計画

国内百貨店の販売管理費の費目別売上は、こちらの表のとおりとなります。前年から249億円減少の計画ですが、この中にはコロナによる特別損失の計上額78億円を含んでいます。コスト構造改革による削減額は、追加対策を含め77億円を計画しています。内訳としては、人件費が22億円、庶務費が16億円、追加対策として宣伝費が22億円、総務費が9億円、経理費が8億円となります。

4.主要子会社計画(国内)

15ページは国内の主要子会社の計画になります。ご覧のとおり、3社ともコロナ影響を受け、減収減益の計画となっています。

4.主要子会社計画(海外1月~12月)

16ページは、海外の主要子会社の計画についてです。シンガポールにおいては、現在もまだ営業規制が続いており、タカシマヤ シンガポールおよびトーシンディベロップメント シンガポールは、前年から大幅な減益の計画となっています。コロナ影響が縮小している上海高島屋、タカシマヤ ベトナム、サイアム タカシマヤの3社の下期の営業利益については、前年並みと見込んでいます。

5.連結営業利益計画 増減要因

17ページは、連結営業利益計画の増減要因をグラフ化したものです。ご参照ください。

1.環境認識 コロナ禍における経営課題

コロナ禍における経営課題について、ご説明します。コロナ禍において、これまでの当社グループの経営課題がより顕在化しましたが、まず、経営環境の認識についてご説明します。新型コロナウイルスの収束については、依然として見通しは立っていませんし、社会不安や消費マインドの低迷が続いています。加えて、消費行動や人々の生活様式も大きく変容しています。これまでは好立地にリアル店舗を持つことが強みであり、その中でいかに集客や購買につなげていくかに注力してきました。

しかしながら、コロナを機に、消費者の行動や価値観が大きく変容するとともに、積極的な集客策が実施できない状況にあるほか、インバウンド売上も回復の見通しが立たない状況にあります。加えて、同一労働同一賃金や送料値上げといった社会からの要請への対応など、当社の構造的要因に起因するコストも増大しており、当社ブランド価値の源泉である国内百貨店の収益力は低下しています。コロナ以前の売上水準の回復までには数年を要するものと考えます。2021年度以降も、売上の回復度合いによっては、引き続き営業赤字のリスクがあると認識しています。

2.事業別方向性 コロナ禍における経営課題

こうした厳しい経営環境ではありますが、当社はコロナをグループ経営の在り方を変革していく好機と捉え、各事業でグループシナジーを発揮し「まちづくり戦略」を進化させていきます。そのけん引役となるのが東神開発であり、その役割や戦略については後ほどご説明します。

当社のブランド価値の源泉である国内百貨店については、コスト構造改革を最優先課題とし、成長著しいネットビジネスの強化、デジタル化の推進、アパレル・フードの再構築に取り組みます。商業開発においては、拠点開発と事業開発の観点から「まちづくり」を推進し、金融においては、百貨店の優良な顧客基盤を最大限に活用し、事業を展開していきます。

3.経営戦略 コロナ禍における経営課題

次に21ページです。当社のあらゆる事業の基盤になるのが髙島屋ブランドです。その源泉が国内百貨店であり、このコロナ禍でさらなるコスト構造改革を推進していきます。これにより創出した原資を、海外や金融といった成長分野やESGに投入し経営資源を再配分するとともに、東神開発をけん引役とする「まちづくり戦略」の進化へとつなげます。社会やお客さまのニーズの変化を正確に捉え、対応していく中で、この循環を途絶えることなく繰り返していくことにより、ブランド価値を最大化させていきます。

4.3カ年計画 コロナ禍における経営課題

22ページは3カ年計画についてです。本年の4月に、国内百貨店のコスト構造改革を中心とする3カ年の考え方や、120億円の対策額についてお話ししました。しかしながら、その時点では新型コロナウイルスによる影響の長期化を想定しておらず、現在も収束時期の見通しが立ってないのが現状です。当社計画の前提条件が大きく変容していることから、3カ年計画については今後の見通しを精査の上、来年4月に開示します。

本年度については、早期の国内百貨店の黒字確保に向けてさらなる対策を実施しており、合わせて77億円の削減を計画しています。来年4月開示の3カ年計画は2021年から2023年を期間とし、ウィズコロナ、アフターコロナにおける新たなグループモデルを構築していきます。

1.まちづくりの進化 まちづくり戦略

グループ総合戦略の「まちづくり」についてです。24ページをご覧ください。「まちづくり戦略」は当社のグループ総合戦略であり、「街のアンカーとしての役割の発揮」と「館の魅力最大化」という2つの考え方を持って、後段お話しする「拠点開発」と「事業開発」を推進していきます。これらが一体となった展開において要点となるのは、コミュニティーとサステナビリティーによる共感の獲得です。消費行動の変化に伴い、リアル店舗という存在そのものが従来のままでは立ち行かなくなっています。売る、買うということだけではないリアル店舗の在り方を求め、集い、過ごすための空間や時間、すなわちコミュニティーを提供することをコアに据えた事業展開に、重心を移していく必要性が高まっていると認識しています。

また、社会の中で当社が果たすべき役割として、地球環境保全、循環型社会実現への寄与、有事の際の安全・安心拠点となる機能など、社会や地域にとってサステナブルなインフラとなっていくことも求められています。こうした考え方の下、既存事業を変化、対応させていくとともに、ネットビジネスやデジタル化、非商業開発といった領域に事業を拡大し、さらなる成長を図ります。

2-(1).東神開発の役割 商業開発業

こうした「まちづくり戦略」のけん引役となるのが東神開発であり、その役割についてご説明します。東神開発は、既存の百貨店やSCを中心に、面で規模や機能を拡張していく「拠点開発」と、アセットの多様化や成長企業とのアライアンスを通じて、グループ商業施設のシナジーや新たな価値創造を目指す「事業開発」という、2つを戦略の柱としています。拠点開発については、二子玉川で培った「まちづくり」のノウハウを生かし、SCを拠点に面開発を進めるともに、行政や地域と連携したエリアマネジメントを推進し、収益基盤の拡大を図っていきます。「日本橋髙島屋S.C.」もまさにその象徴にあると言えます。

一方の事業開発については、成長性が高く、かつ主力事業であるSC事業とのシナジーを期待できる事業パートナーとアライアンスを組むことで、新しいコンテンツや付加価値を自ら開発していくとともに、非商業領域を含めたアセットの多様化につなげ、景気変動や不測の事態などのリスク耐性を高める事業領域の拡大を図っていきます。

2-(2).街のブランディング(国内)商業開発業

続いて26ページです。拠点開発の具体例として、流山における周辺開発をご説明します。流山においては、2007年開業のショッピングセンターの本館を核に、周辺物件の取得や開発を随時進めています。施設や機能を段階的に拡張するとともに、行政や鉄道会社と連携し、施設間を有機的に結びつけることで、駅周辺の往来や賑わいの創出を図ります。加えて、再生エネルギーの活用、地域の防災拠点化などを積極的に推進して、サステナブルな地域社会の実現に寄与していきます。

そうした考え方に基づき、駅前広場と一体的な施設づくりを目指した「フラップス」の来春開業を皮切りに、ワークスペースや健康・教育などを提供する「アゼリアテラス」や、カルチャーやウェルネスなどを通じた地域コミュニティーの場を提供する「ANNEX2」が、順次開業予定となっています。こうした取り組みを通じ、流山において盤石な収益基盤を築き上げていくとともに、地域に根ざしたコミュニティー基盤を創出していきます。

2-(3).アセットの多様化 商業開発業

27ページはアセットの多様化についてです。事業開発の具体例として、非商業領域の進出についてご説明します。新型コロナをはじめとする感染症の蔓延や、大型台風などの異常気象の増加など、昨今、事業活動を揺るがしかねない不測の事態が多発しています。また、商業領域は景気変動の影響も受けやすく、事業安定化に向けたリスク分散も求められます。

一方で、ショッピングセンターの同質化や供給過多が叫ばれ、今後の成長を期待できる新しい領域やコンテンツの開発が急務です。こうした状況を踏まえ、非商業領域への進出、アセットの多様化を進めていきます。具体的にはシニアマーケットに注目し、業務提携等を通じたアライアンスを組むことで、当社施設の近接物件の共同取得や、開発過程における不動産、金融、内装等のグループシナジーの発揮に取り組んでいます。日本橋においては、近接エリアでオフィスビル開発を進めています。周辺物件を通じて機能の多様化を図ることで、「日本橋髙島屋S.C.」のさらなる飛躍を企図しています。

2-(4).成長投資の加速(海外)商業開発業

海外戦略については、2016年にベトナムの「サイゴンセンター」に「ホーチミン髙島屋」を開業したことが大きな契機となっており、現在はホーチミンとハノイの2拠点でベトナム事業を展開しています。「サイゴンセンター」の成功により、ベトナム国内での髙島屋グループのプレゼンスは飛躍的に向上しました。髙島屋ブランドや商業開発、運営のノウハウを求める有力な事業パートナーと接点が生まれ、さまざまな事業機会の獲得につながっています。昨年には、ハノイの「インドチャイナプラザ・ハノイ」やホーチミンの「A&Bタワー」の取得、連結子会社化を進めて、収益基盤の拡大へとつなげています。また、短期的収益ではなく、現地運営チームをはじめとする優秀な人材確保や、現地での施設運営ノウハウの蓄積など、成長市場での事業拡大を企図した成長投資の加速を進めています。今後は「インドチャイナプラザ・ハノイ」のリニューアルを計画しており、取得物件のバリューアップを実現し、現地でのプレゼンスを確固たるものとしていきます。

2-(5).アライアンスの拡大(海外)商業開発業

海外での成長投資を加速させるとともに、地場の成長企業とアライアンスを構築することで、事業領域を拡大していく取り組みを行っています。成長著しいベトナムにおいて、学校事業は有力な成長産業であり、学校やオフィスを含めたハノイ周辺の副都心エリアにおける複合型開発「スターレイクプロジェクト」に参画しています。

A街区が来年2021年2月開校予定、B街区は2022年の商業施設部分から段階的に開業する予定です。アライアンス手法としては、当社と現地学校運営会社が相互出資を行うことで、長期保有を前提とした強固な関係を構築していきます。これにより安定的な不動産収益の確保と、学校事業を通じた高い成長性を実現します。

また、学校事業にとどまらず、商業施設と親和性の高いオフィスや住宅、高い成長性が期待される教育や外食など、さまざまな分野でのアライアンスを検討しており、今後も複合開発への積極的な参画と、魅力的なコンテンツの確保を進めます。

3-(1).SC・百貨店の在り方 国内百貨店業

30ページはSC・百貨店の在り方についてです。百貨店業界における婦人服と紳士服の売上は、他業態の台頭や消費者の価値観の変化、EC購買の拡大などにより、現在は1990年の2兆8,000億円から半減しています。市場やライフスタイル変化は、コロナ禍でより一層加速しています。アパレルの再構築は喫緊の課題であり、百貨店再生に向けた重要なテーマでもあります。そこで、まずSC・百貨店の在り方ついてご説明します。図表のとおり、館全体のグランドデザインについては、立地特性や家賃原価、リターンのバランスなどの不動産視点を付加しながら策定します。次に、当社が使用する適正規模を判定します。

さらには商業と非商業、物販と非物販、専門店と百貨店といったポートフォリオを、地域や館のお客さまの特性を踏まえながら総合的に判断して、具体的な展開コンテンツを館の中に落とし込んでいきます。以上のプロセスを、百貨店と東神開発の協働によって着実に実行します。

3-(2).アパレル再構築 国内百貨店業

こうしたSC・百貨店の在り方を策定するプロセスを通じて、ファッションフロアにおいても再構築を図り、自主編集売場を中心とした売場展開を推進します。そして、ターゲット顧客の興味や関心に即した、ライフスタイル提案型の売場へと進化していきます。

また、店舗におけるアパレル面積を適正な規模に縮減し、捻出された面積については賃貸借も含め、他のカテゴリーに転換していくことも検討していきます。成長力や話題性のある新規の取引先の開拓を進めていくことに加え、将来の一流デザイナーの育成にも取り組みます。ブランド価値の確立途上である新進デザイナーを発掘することにより、当社がそのインキュベート機能を担っていきます。

3-(3).デジタル技術 国内百貨店業

32ページはデジタル技術についてです。新型コロナウイルスを契機に、人々の生活様式が変容していることに加え、外出を控える傾向が続いています。そこで、当社の営業活動にデジタル技術を取り入れることにより、お客さまの利便性を向上させていきます。昨年から、日本橋店の次世代外商顧客の方々を中心に「LINE WORKS」を活用した営業活動を実施し、お客さまのニーズの的確な把握とスピーディーな対応に努めています。特にコロナ以降、お客さまのご自宅への訪問を控えざるを得ない状況もある中で、大変ご好評をいただいています。この取り組みは、本年の9月以降、大型店を中心に他店へ拡大しています。

また、モバイル端末を利用したリモート接客で、外出を控えるお客さまにコンサルティング販売を実施しているほか、事前来店予約サービスにより、お客さまの店舗滞在時間を短縮する対応も実施しています。

4-(1).ネットビジネス売上目標 EC事業

33ページからはネットビジネスについてです。外出自粛や生活様式の変容などの影響もあり「髙島屋オンラインストア」をはじめとする本年度のネットビジネス売上は、270億円を計画しています。2023年度には300億円の売上を計画していましたが、すでに300億円の達成目前であることから、目標を500億円に上方修正します。中長期を見据えた新たなEC体制構築に向け、現行スキームの改善に取り組んでいきます。

4-(2).500億円に向けた施策 EC事業

「2023年度ネットビジネス売上500億円」の必達に向けて、営業力強化や収益改善、事業拡大の構築を進めています。品揃えについては、当社の強みである百貨店商材の自家需要への対応や、ライフイベントにおけるパーソナルギフト商品を拡充します。また「上質で、より良い日常を過ごしたい」というお客さまに向けた商品を展開していくほか、新規に特選ブランドも導入します。

集客では、ECサイトのリニューアルを来年以降、計画しています。お客さまの多くがスマートフォンを使い「髙島屋オンラインストア」にアクセスすることから、スマホファーストの仕組みを構築していきます。また、物を売るだけでなく、情報発信としての機能やコンテンツの充実を図ります。さらには、出荷能力を最大化するとともに、お客さま対応の体制を整備することにより、売上500億円を下支えする事業拡大体制を構築していきます。

5-(1).新規事業計画 金融業

35ページは新規事業計画についてです。本年3月に、金融子会社の合併により事業の中核となる髙島屋ファイナンシャル・パートナーズを設立し、6月にはファイナンシャルサービス事業を開始しました。「日本橋髙島屋S.C.」において、お客さまの資産形成や継承のご相談を承るファイナンシャルカウンターをオープンしています。

2021年には、ファイナンシャルカウンターを大阪や横浜にも拡大していくほか、今後は新規与信事業も計画しており、中長期的には100億円規模の営業利益を目指します。なお、事業ポートフォリオについては、クレジットカードなどの既存事業で75億円、投資信託や新規与信など新規事業で25億円を計画しています。

5-(2).プラン提案体制 金融業

こちらはファイナンシャルカウンターのメンバーです。「日本橋髙島屋S.C.」にオープンしたファイナンシャルカウンターにおいては、お客さまを第一に考え、中立性に基づいた最適な資産形成や相続に関するプランを提案する体制を整えています。百貨店の優良な顧客基盤を活用した事業を展開する中で、外商のお客さまに加えて、「仕事が多忙で、資産形成に関して十分に考える余裕がない」という理由で予約、来店されるオフィスワーカーのお客さまも大変多く、幅広い層のお客さまにご利用いただいています。

1. 財務方針

財務方針についてご説明します。38ページをご覧ください。上期は、緊急事態宣言の長期化や第2波に備え、十分な手元流動性を確保すべく、CPの発行あるいは短期借入金による機動的な資金調達を行いました。上期末では業績悪化にもかかわらず、手元資金は1,200億円と潤沢にあり、また純有利子負債は期初の約1,000億円から約1,100億円と大きくは増加していないことから、十分に安定した財務基盤を維持しています。下期については、コロナの状況を見極めながら、手元資金と有利子負債を適切にコントロールしていきます。2月末の有利子負債残高は最大2,400億円程度に抑制し、手元資金の状況に応じて調達額は減らします。

一方、今期予定されているリファイナンスについて、すでにその予定額の一部は長期安定資金にて調達済みであり、下期も市場動向を見極めるとともに、株主価値に配慮して、当社にとって最も有利な条件で長期の調達を目指します。このような安定した財務基盤に基づき、安定性と継続性を重視し、今期は前年並みの配当を堅持します。

1.グループESG経営 ESG戦略

ESG戦略についてです。40ページをご覧ください。当社では持続的成長に向け、環境・社会・ガバナンスに基づいた経営を推進していきます。このコロナ禍において、当社は感染拡大防止に向けた店舗の臨時休業をしました。また、消費者のライフラインの確保や、取引先を含めた従業員の雇用の確保、企業存続の観点から総合的に判断し、早期に営業再開の経営判断を行いました。こうした過程において、リスク時の情報開示の徹底や、社会公器としての役割発揮の重要性を再認識しました。

経営を取り巻く環境が激変する中で、新たな価値を創造し社会課題を解決していくことは、新たな成長に向けた好機であると捉えています。こうした当社の取り組みを通じて、ステークホルダーからの共感を獲得し、ブランド価値を最大化させていきます。

2.環境(脱炭素への取組み)ESG戦略

41ページは、脱炭素への取り組みについてご説明します。当社グループは、2050年にRE100パーセントの達成を目標に掲げています。まずは、照明のLED化や設備更新による空調負荷軽減など、店舗設備の省エネやローコスト対応に取り組み、全社として電力使用量の削減を図ります。再生可能エネルギーへの切替と導入については、東神開発が手がけている玉川周辺および流山8施設を、本年11月以降、順次切り替えていきます。

また、2021年以降は、流山の新規開発物件3物件に「日本橋三丁目スクエア」を加えた4つの施設で導入予定です。2022年以降は、グループ本社ビルなど順次再生可能エネルギーに切り替え、2030年にはRE30パーセントの達成を目指します。

3.環境(循環型ビジネス)ESG戦略

循環型ビジネスについてご説明します。本年2月、ケミカルリサイクルという最先端技術や循環型プログラムを有する日本環境設計に出資しました。9月からは日本環境設計に当社の人材を派遣し、オリジナルの環境配慮型商品の開発に着手しています。中長期的には、百貨店で培ってきた商品開発ノウハウや、取引先とのネットワークを活用することで、循環型ビジネスのプラットフォームを構築していきます。なお、ポリエステルを原材料とする当社の限定品については、5年後の2025年に、100パーセント再生ポリエステル原料とすることを目指します。

4.社会(働き方改革)ESG戦略

43ページは働き方改革についてです。コロナを契機に、社会全体で働き方が変容しています。当社においても、働き方改革による生産性向上を目指す中で、その阻害要因となる問題が顕在化しており、業務効率化と働きやすい環境整備の観点から、取り組みを加速しています。業務プロセスの見直しやシステム化を推進することにより、仕事を通じて自ら活躍、成長する機会を創出するほか、自らの生活への充実へとつなげていきます。これらを好循環させていくことで、さらなる生産性向上を図り、お客さまと従業員の満足度を高め、ステークホルダーとの信頼関係を構築します。

まとめ

最後に、44ページはまとめです。以上、お話しした内容はこの項目のとおりでございます。駆け足でしたが、以上で私からの説明を終了させていただきます。

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