ケースⅠではインフレ率が2.0%で計算されています。インフレとは物の値段が上がることで、インフレ率2.0%ということは昨年100円で購入できたものが今年は102円になっているということです。

2013年1月22日からインフレ率の目標は2.0%と定められているので、それを継続して達成できたというシミュレーションですね(※4)。そして、インフレ率2.0%が今後40年間継続できたとすると物の値段は今の2.2倍にもなります。

つまり、現時点で2,000万円の資産を持っていたとしても、40年後の価値は現在の1,000万円以下になってしまっているということです。せっかくお金を持っていても価値が減ってしまうのはもったいないですよね。

ケースⅠ〜Ⅵの全てにおいてインフレを前提としていました。そのため、老後への資産作りには投資が必要だといえます。

まとめ

この財政検証にはとても大切なことが書かれています。

繰り返しになりますが、それはケースⅠ〜Ⅵの全てのケースにおいてインフレを前提としていることです。一般的にはインフレが起きると株価も上がりますので、私たちの資産形成において投資をすることが非常に重要になってきます。

毎年2%株価が上がると仮定した場合、月3万円を40年間積み立てると、40年後の価値は2,203万円になります。また、過去の歴史を見ると40年間の平均利回りが5%を超える商品も存在します。

もし、そういった商品に毎月3万円積み立てると、40年後には4,578万円にもなります。これらの資金を一括で取り崩すのではなく、運用しながら取り崩せば老後の金銭的な不安を解消することにもつながりそうです(※5)

今、私たちに必要なことは将来を悲観することでも、現実から目を背けることでもなく、お金の知識を身につけて投資を始めることだと思います。

参考

(※1)「将来の公的年金の見通し(2019年財政検証)」厚生労働省
(※2)「中長期の経済財政に関する試算」内閣府
(※3)金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(別紙1)」
(※4)「金融政策決定会合議論要旨 2013年1月21、22日開催分」日本銀行
(※5)「人生100年時代シミュレーション」大和アセットマネジメント

安田 優