キュレーターから読者に伝えたいポイント
月替わりとなる今週は、米国での利上げ観測の高まりと、それを受けての円高一服により上値を狙う展開が続いています。今回は、米国金融政策の正しい読み解き方と、過去の米利上げ局面での日本株の動きを理解するための記事を取り上げました。また、円高一巡と市況の好転の恩恵が期待できる投資テーマとして半導体関連の記事にも注目しました。
注目のジャクソンホール講演は無事通過
8月26日に米国ジャクソンホールで開催された年次経済政策シンポジウムでのイエレンFRB議長による講演は、事前には相場の波乱要因になることが懸念されていました。しかし、結果的には大きな波乱を引き起こすものとはならず無難なものとなりました。
その理由は、この記事で指摘されているように、年内に利上げは行われないのではないか、というハト派に対しては「利上げの条件が整う」といった表現で年内の利上げの可能性が高いことを示唆した一方で、急激な利上げを期待するタカ派的な見方に対しては、たとえ利上げがあっても、利上げは穏やかなものとなることを暗示する内容を含ませるという、非常にバランスのとれた内容であったことによります。
このように、今回の講演が、目先の金融政策と将来的な金融政策にバランスよく言及することで、極端な市場変動を回避しつつ、市場に利上げ観測を織り込ませる内容であったため、為替市場では穏やかな円安が進み、これを受け、日本の株式市場も上値を伺う展開となっています。
出所:イエレン議長がジャクソンホールで語ったことの真意は?(投信1)
米国利上げと日本株の関係は?
では、米国で利上げが行われると日本株はどのような動きを見せるのでしょうか。この記事では端的に、この疑問への答えが示されています。具体的には、過去の利上げ局面では、日経平均は上昇していることが多く、また、その反対に、利下げ局面では日経平均は下がっていることが多いとのことです。
この理由としては、米利上げは、米景気が好調なときに実施されることが多く、また、米利上げは、円安(ドル高)につながり易く、結果として日本の企業業績の回復期待が高まることが背景として考えられるようです。
個別テーマでは半導体関連に注目したい
今後、さらに円安が進むかどうかは9月20日~21日に予定されている日銀の政策決定会合後に発表予定の「金融政策の総括的検証」の内容次第となります。とはいえ、米国金融政策の方向性から、一段の円高進行は回避できる可能性が高まってきており、これまで円高デメリットが懸念されてきた輸出関連への注目度が高まることが予想されます。
こうした観点で着目したいテーマの一つが半導体関連です。この記事で指摘されているように、7月以降、半導体株価指数が、NYダウを上回る動きとなっています。日本の半導体関連株銘柄は、世界的な半導体関連株の見做しの動きと、円安メリットの両方を享受できる可能性が高いため、大いに注目したいと思います。
LIMO編集部