子どもには十分な教育を受けさせたい。子どもの希望する進路を叶えてあげたい…。そう思うのが親心というものですよね。子どもが生まれたらそんな気持ちで教育資金の準備を始める人もいるでしょう。

ですが、子どもの教育費も親の稼ぎから捻出するわけですから、親の収入に応じた準備をするのが妥当ともいえます。今回は、子どものことを思うあまり自分たちの老後資金を貯めてこなかったという2組の夫婦に話を聞いてみました。

子どもと不仲になり、老後の面倒を見てもらえるかすら不安

「今はもう娘たちとは連絡も取っていない。希望の大学院にまで進ませたのに、老後の面倒さえ見てもらえないかもしれないという不安がある」と嘆くのは、愛知県に住む50代のAさんです。

Aさんには娘さんが2人おり、長女は理系の大学へ、次女は文系の大学院へ進学したと言います。「私自身が両親に『女に学問はいらない。せめて行くなら短大にしなさい』と言われて育ち、親の反対を振り切って大学に進学した身だったから、娘には進路を狭めるようなことは言いたくなかった」と、子どもの進学に対する思いを語ってくれました。

娘の進学に対して人一倍思い入れがあったAさんですが、暮らしは大変だったと言います。「地方の中小企業勤めだと、収入はやはり厳しい。夫と共働きで働いて、子どもが小さいときには夫婦交代で夜も働きに出ていた。毎月決まった金額を貯めるほかにも、生活費を切り詰めてお金が余ったら教育費のために貯金。老後資金なんてほとんど考えていなくて、子どもたちが巣立ってから貯めればいいくらいに思っていた」と話します。