「貸して」と言われたら「いいよ」と貸してあげる、「ごめんね」と謝られたら許してあげる。

私たちはそれが当然、と子供たちに教えています。しかし、子供たちにどうしても貸してあげられない、許せない事情があるとすれば…? それでも「貸してあげるべき」「許してあげるべき」と教育しなければならないのでしょうか。

もしかしたら、それが子供に大きな負担を背負わせることになっているかもしれません。

「貸してあげない」のには理由があった…

幼稚園年長の女の子Cちゃんのママのもとに、担任の先生から電話がかかってきました。

「今日、お友達のHちゃんが、Cちゃんのハンカチを『可愛いね。貸して』と言ったのですが、Cちゃんが『ダメ。Hちゃんには貸さない』って…。私から『お願いされたからちょっとだけ貸してあげようね』と諭しても『貸してあげない』の一点張りで…とうとうHちゃんが泣いてしまったんです」と先生。

Cちゃんのママはびっくりして思わず「お友達が『貸して』と言ったら貸してあげなきゃいけないじゃない」とCちゃんに言うと、Cちゃんは途端に目に涙をいっぱい溜めてこう言ったのです。

「だって、Hちゃんに貸したら、ハンカチがかわいそうなんだもん」

Cちゃんの言い分はこう。