株式市場の振り返り-円安を好感した買いが優勢で大幅反発も、商いは低調

2016年8月29日(月)の東京株式市場は大幅反発となりました。日経平均株価は前日比+2.3%の上昇、TOPIXも+2.0%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は反発となったものの、+0.3%の上昇に止まりました。

日経平均株価は、円安進行等を受けて前日比+270円高で寄り付きました。その直後に上げ幅を若干縮小しますが、すぐに買いが優勢となります。後場の開始後には一時+403円高まで上昇する場面が見られました。その後は上値がやや重くなり、大引けは+376円高の16,737円で終わっています。日経平均株価が+2%以上上昇するのは8月8日以来です。

東証1部で上昇したのは1,540銘柄、値下がり363銘柄、変わらず62銘柄でした。東証1部の出来高は16億1,667万株、売買代金は1兆8,027億円(概算)となっています。株価指数が大幅上昇した割には、商いが低調に終わったことが気掛かり材料です。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種中30業種が上昇、小売セクターの下落が目立つ

東証1部で上昇したのは30業種、下落したのは僅か3業種でした。総じて買われた中、上昇率の上位には、金融関連、輸出関連などが名を連ねました。一部の内需関連も大幅上昇となっています。一方、下落した業種では、小売セクターが大きく売られており、資金シフトの動きが推察されます。

個別銘柄では、TDK(6762)や村田製作所(6981)が値を飛ばし、デンソー(6902)、トヨタ自動車(7203)、マツダ(7261)なども大幅上昇となりました。また、ファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンクグループ(9984)など指数寄与度が大きい主力株も値を上げています。一方、ローソン(2651)とファミリーマート(8028)がともに急落し、セブン&アイ・ホールディングス(3382)も冴えませんでした。また、しまむら(8227)やJT(2914)も大きく値を下げて終わりました。

東証マザーズ市場の動き-閑散相場が続く中で、総合指数は僅かな反発に止まる

東証マザーズ総合指数は、取引時間を通してプラス圏で推移しましたが、資金流入が少ないこともあり力強さに欠ける展開でした。辛うじて反発となったものの、僅か+0.3%高に止まる状況であり、900ポイント回復もなりませんでした。出来高は3,600万株、売買代金は454億円となり、いずれも前日より大幅減少となっています。今年最低水準に近い薄商いでした。なお、騰落状況は、値上がり117銘柄、値下がりは89銘柄、変わらず11銘柄となっています。閑散相場を打破するような、物色テーマや材料が欲しいところです。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)が小幅高となったものの、その他の医療バイオ関連銘柄は冴えない動きとなり、アンジェス MG(4563)やヘリオス(4593)は大幅下落となりました。また、米国投資情報会社(空売りファンド)の売り推奨レポートが公表されてから株価が軟調なCYBERDYNE(7779)は、前日に続いて値を大きく下げています。新興市場が閑散相場だったこともあり、大きな値動きを示した銘柄はほとんど見当たりませんでした。

本日(8月30日)の注目点-早くも次のイベントを睨んだ値動きが始まる可能性も

ジャクソンホール会議終了後の日本株は大幅反発でスタートしましたが、出来高を見る限り、まだ本格的な買い増しではなく、売られ過ぎ分の買い戻しに止まったようです。しかし、今週末には早くも次のイベント(米国の雇用統計発表)が迫っており、何かの切っ掛けによって、株価が更に大きく動き出す可能性は残っています。日本株を取り巻く環境は決して悪くはないと言えます。

30日(火)も引き続き、取引時間中の粗い値動きに注意は必要ながら、出遅れ感のある好業績銘柄へフォーカスする戦略が有効でしょう。29日の動きを見ると、内需関連から外需関連への資金シフトの動きが見られました。この動きが継続するのかどうか注目です。外需関連には、まだ出遅れ感の強い銘柄が残っていると思われます。

一方、当面の新興株式市場は、動きが鈍くなる可能性が高まったと言えます。大型株への資金シフトが鮮明になる中で、7月から始まったマザーズ先物指数が波乱要因になるかもしれません。いずれにせよ、大胆な行動をとる必要はないと考えられます。

青山 諭志