未納率を減らすためのもう1つの手段が、未納者への徴収を厳しくすることでした。日本年金機構は2014年から強制徴収の強化を図り、未納者の財産調査や差し押さえに集中して取り組んだのです。
直近の2018年発表によれば、同年度に1万4,344件の財産差し押さえを行うに至りました。対象は控除後所得額300万円以上かつ未納月数7カ月以上の滞納者と、以前に比べて条件が厳しくなっていることも特徴です。
徴収が強化されたたこともあって、納付率は上がりました。厚生労働省が今年6月に発表した2019年度の最終納付率は 76.3%となり、前年度と比較すると1.7 ポイント伸びています。
納付率は概ね年齢が上がるにつれて高くなりますが、前年度と比べ20代~30代の上昇幅が大きくなっている背景には、徴収の厳格化があるのかもしれません。
納付が困難ならば急いで分割払いや救済措置の手続きを
このように保険料の納付は拒否できないわけですが、では滞った支払いはどうしたらよいのでしょうか。
まず、納付期限から2年以内であれば遡って支払うことができるため、納付書が手元になければ近くの年金事務所に問い合わせましょう。2年を過ぎる時効となり支払えなくなるので注意が必要です。
経済的に一括支払いが難しい人は、まず「分割払い」の措置をとることが賢明です。年金事務所で分割払いの納付書をもらい、少しずつでもきちんと払っていきましょう。所得が少なく分割払いも無理な場合は、年金事務所に相談すれば「免除」や「猶予」といった救済措置を受けられる可能性があります。