また、国民年金の加入期間に病気やケガで働けなくなった場合にもらえる「障害基礎年金」も、受け取ることができません。未納の状態でいた場合、万が一の場合の公的保障は適用されないことになります。

重要なのは、老後や病気・障害の際に困るというだけではありません。保険料の納付義務を怠ったことにより、未納者には日本年金機構から厳しい措置が取られるのです。

ハガキや封書で支払いの督促状が届くだけでなく、年金事務所から委託されている民間企業から督促の電話があったり、訪問員が自宅を訪ねたりということになります。

それでも納付しない場合は差し押さえ通知が届き、車や自宅、私物などを差し押さえられ、預金口座も凍結される大事に発展してしまいます。未納額を回収するまでは本人だけでなく、世帯主や配偶者といった連帯納付義務者の財産も対象になるのです。

さらに、納付期限の翌日から完納日の前日までの日数に応じて最大で年14.6%の延滞金がかかるため、支払金額が膨らむことになります。

強制追徴の強化による差し押さえ件数は年に1万4,000件超

国民年金は現役世代が高齢世代の年金を担う施策ですが、少子高齢化により現役世代の割合は年々減少しています。保険料の未納率が上がれば年金の仕組みが破綻する恐れがあり、以前から保険料未納者は制度の重要課題となっていました。

未納者を減らすには納付期間の短縮が有効と考えられ、それまで25年間だった納付期間が2017年からは10年間に短縮されました。納付期間が短ければ年金も少なくはなるとはいえ、10年間で受給資格が得られるようになったため納付率は上がっています。