株価がファンダメンタルズから乖離(かいり)しているのは、株価が美人投票で決まるからだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

景気は悪いが株価は高いという乖離

景気は、新型コロナの自粛を受けて世界的に非常に悪い状況です。企業収益も当然のように非常に悪い状況です。改善の兆しは見えていますが、元どおりになるには相当長い時間を要すると言われています。経済活動を再開すれば感染が再拡大しかねず、恐る恐る、行きつ戻りつしながらの再開にならざるを得ないからです。

ちなみに日本は、人口当たりの感染者数等が遥かに少ないにもかかわらず、経済の落ち込み具合は欧米並みとなっています。これは日本人が慎重な(用心深い?臆病な?)性格だから、ということなのでしょうが、本稿はこの点には立ち入らないことにしましょう。

それにもかかわらず、株価は堅調というか、むしろ好調と言えるでしょう。ファンダメンタルズ(株価を決める材料となる実体経済等々の基礎的条件)と株価が大きく乖離している、というわけです。不思議なことです。

不況下の株高という言葉があります。景気が悪い時には金融が緩和されていて、金利が低いので配当利回りを狙った投資が増える、というのが理屈なのでしょうが、ゼロ金利下の金融緩和ではこうした効果は狙えません。

「水準としては不況でも、財政金融政策等により景気の底打ちが見えており、先回りした買いが株価を押し上げている」、というケースもありますが、今次局面では新型コロナの自粛との兼ね合いもあり、先々の回復に明るい展望は持ちにくいでしょう。