オランダの親はナッジ上手?
かといって、オランダのように子どもの自由や自律性を尊重する教育方針が日本で上手くいくのでしょうか。
教育システムだけに限りませんが、オランダ式がいいから、アメリカ式がいいからと他所の国のいい所を取り入れるのはいいことかもしれません。しかしその国で上手くいっているからといって、必ずしも日本でも上手くいくとは限りません。
筆者個人的にですが、子どもの自由を尊重する育て方があまり上手くいっていない家庭を沢山知っています。傍から見ると多くの場合、親が「自由」「自律性」の尊重を「甘やかし」「好き放題」と勘違いしているように見受けます。
オランダや北欧の教育方針が上手くいっているのは、親や教師、まわりの大人が子どもの自由や自律性を尊重するとはいえ、決して「甘やかし」でも「放任」でもないからではないでしょうか。押し付けてはいないけれど好奇心を持たせ、自主的に何かを学ぶことの楽しみを見つけるよう子どもをナッジ(さりげなく仕向ける)するテクニックや環境づくりを、自分達の親世代から学んでいるのでしょう。
また、子ども達が伸び伸び自由に学べ、それぞれの個性を受け入れる思想や社会的な環境ができていることも影響しているでしょう。
日本では親自体が自律性を尊重されることを知らないのに、子どもの自律性や自由を正しい方向にナッジすることは難しいことです。