子育て、親戚づきあい、親の介護、夫婦の仕事の継続、老後の資金……たくさんのプレッシャーでパンパンにふくらみ、“密室育児”に疲弊して酸欠になった家族は、フレッシュな空気を必要としています。

近年では「社会の最小単位」と呼ばれる核家族が家族の基本的な形でしたが、現在は単独世帯(世帯主が1人の世帯)の割合が増加。国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、20年後には単独世帯が全体の約40%にのぼると予想されています。中には、結婚と育児を「嗜好品」という声も。

伝統的な家族の維持か、新たな家族の形成か、単独で生きるか……。家族からの回避現象が起きているにもかかわらず、家族観が多様化しているとは言えません。

今回例にあげた韓国・中国のドラマは、いずれも伝統的な家族とは異なる “家族のようなもの”を通じて人と人が愛し合い、癒し合う場面が非常に印象的でした。

家族のメンバーを結びつけるものは何なのか、家族の定義とは何なのかを視聴者に投げかけるコンテンツは、伝統的な家族観が色濃く残るアジア諸国において今後ますます増加し、多様な家族観を提示していくのではないでしょうか。

【参考資料】「日本の世帯数の将来推計(全国推計)- 2018年推計」(国立社会保障・人口問題研究所)

北川 和子