同様の現象は、中国、韓国のドラマにおいても見られます。

たとえば、今、動画配信サービスのNetflix(ネットフリックス)で人気を博している韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』では、子を抑圧・支配する母からの解放が一つのテーマとなっています。

ヒロインは、自分の“成果物”のように子どもを扱い、子の人間関係を著しく制限する母親のもとで育った女性。実の家族の呪縛から逃れ、新しい人間関係を築くまでの過程が丁寧に描かれたストーリーは、日本でも共感を集め、常に人気ランキングの上位に入っています。

中国で爆発的な人気を集めたドラマから見える社会変化

そして、今年の夏、中国およびアジア諸国で大きな話題を集めたのが『以家人之名』(邦題筆者訳:家族の名のもとに)です。

同ドラマは夏期のドラマの中で中国国内の視聴回数がトップとなり、ファミリードラマとしては近年まれにみるヒットとなっているようです。筆者は近所の中国人女性にすすめられ、中国版の動画配信アプリでリアルタイム視聴してみたら、あまりのおもしろさに睡眠時間をずいぶん削りました。

近年の中国ドラマは、派手なアクションを伴う時代劇や、少女漫画のようなラブコメディが人気を集めていますが、『以家人之名』はそれらとは一線を画していました。

ストーリーは、妻をなくした父親が、1人娘とともに血のつながりがない2人の男の子を一緒に育てるところからスタートします。3人の“子ども”に寄り添いながら幸せを願い、毎日台所に立ち続ける父親の優しさがキラリと光る反面、登場する母親は軒並み強烈です。