過干渉マザー、みえっぱりマザー、子捨てマザー、子ども依存マザー、娘と孫娘の人生丸ごとコントロールしたいグランドマザーなど、まあ、いろんな母親が登場します。

劇中では、実の母親たちが「あなたのために」「家族だから」という言葉を使って子どもたちを追い詰めるピリッとした緊張感を伴うシーンが繰り返される一方で、血のつながりのない家族の一家団らんにほのぼのするという、皮肉な展開が続きます。

主人公一家が周囲の人たちから「血は水よりも濃し」「実の親を大切にするべき」という言葉を投げかけられることからも、伝統的な家族観が色濃く残っていることがうかがえます。

とはいえ、中国都市部においては教育環境、雇用環境に大きな変化が起こっています。親は子どもをより高度な仕事に就かせるために、1人か2人の子どもに最大限のエネルギーを費やし、良い教育のために奔走する。その結果、子どもたちは激しい競争にさらされています。

ところが、実際に社会に出ると、日本の高度成長期の“企業戦士”のような働き方が蔓延する新興企業は少なくありません。朝9時から夜9時まで週に6日間働く“966勤務”は、近年の大きな問題となっています。

社会が激変する中、かつての家族のあり方にきしみが出始め、親の考える“子どもの幸せ”と、子ども自身の考える理想の人生がかい離する現象も起こり始めているのではないでしょうか。

「家族からの回避現象」が起こり始めている日本

さて、すでに社会と家族の激変時代を通過し、もう一歩先をいくのが、日本ではないでしょうか。

近年、日本では家族が背負うものが重く、家族を失敗できないというプレッシャーゆえに、家族を持つことを敬遠する……という現象が起こっています。