長期政権は自民党の“順繰り”パターンを崩す

1つの理由として考えられるのが党内抗争です。これら過去のケースは全て自民党の政権ですが(注:鳩山一郎氏の時は“55年体制”の誕生)、一般論として、政権与党には総理総裁への欲望を隠さない野心的な政治家が数多くいます。

言い方が適当でないかもしれませんが、その野心的な政治家が2年前後の“順繰り”で首相を務めてきたことは否めませんし、このパターンは今もあると考えられます。それでも、順繰りによって党内が丸く収まってきました。

ところが、何らかの拍子で1人が5年以上の長期に渡って首相を務めると、この順繰りパターンが大きく崩れます。昔、中曾根康弘氏が首相在任終盤によく言っていた「待合室が混んできたようです」という状況なのでしょう。

支持率が低下する長期政権後の新政権、スキャンダルで辞任するケースも

もう1つ見逃せないのが支持率の低下です。長期政権を維持するのには、世論調査等による高い支持率や国政選挙での勝利が必要不可欠です。いくら順繰りとはいえ、不人気の首相が長期政権を保てるほど甘くないのです。

実際、長期政権を維持した5人の首相には全て当て嵌まっており、小泉政権時の「郵政解散選挙」に代表される圧倒的な大勝利も決して少なくありません。ところが、長期政権後の首相の多くは、この支持率が大きく低下しています。やはり、前任者の高い支持率を引き継ぐことは難しかったと考えられます。

さらに、長期政権後の首相は、何らかのスキャンダルを引き起こして退陣するパターン(田中角栄氏、竹下登氏、宇野宗祐)しや、体調不良で止む無く退陣するパターン(石橋湛山氏、第1次の安倍晋三氏)も目立ちます。特に、スキャンダルで退陣したパターンは、後々から振り返れば、党内抗争で“刺された”可能性もありそうなものばかりです。