3.貯蓄を取り崩す

これは、できれば最終手段としてとっておきたい方法ですが、先述の生活費と年金額の差を見ると、貯蓄を取り崩して生活することは避けられないように思います。そのために、現役時代に貯蓄に励んだり、投資で少しずつ増やしたりすることが大切になります。

100歳どころか150歳まで生きても使いきれないくらい貯蓄がある人は別ですが、多くの人は貯蓄の取り崩しに抵抗があると思います。そこで、まずは私的年金制度などを利用して年金額を増やす努力をしてみて、それでも年金が足りない時に貯蓄を取り崩すと考えて、つみたてNISAなどを活用して老後資金を貯めるとよいでしょう。

年金はいくらもらえたら安心なのか、その答えは生活費と同じ額もらえたら問題ないわけです。夫婦二人暮らしであれば、24~28万円ほど、一人暮らしであれば、15万円ほどとなりますが、公的年金だけでは厳しいのが現実です。

そこで、(1)私的年金を利用して年金額を増やす、(2)できるだけ長く働き年金以外の収入を得る、(3)老後資金を貯めておく、この3つの中から(全部できれば尚よいですが)今からできることは何かを考え、老後を見据えた計画を立てておきましょう。

参考

「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-2 世帯主の年齢階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯 年次 2019年」総務省統計局
「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2019年」総務省統計局
「厚生年金保険・国民年金事業年報」厚生労働省
「付加保険料の納付のご案内」日本年金機構
「在職老齢年金について知りたい」公益財団法人 生命保険文化センター
「年金の繰下げ受給」日本年金機構

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

石倉 博子