1.年金額を増やす

年金は公的年金だけでなく、私的年金もあります。私的年金は公的年金の上乗せの給付を行うものです。自営業者などの国民年金第1号被保険者が加入できる「国民年金基金」iDeCoの愛称で知られる「個人型確定拠出年金」、会社員が加入できる「企業型確定拠出年金」「確定給付企業年金」「厚生年金基金」、民間の保険会社が販売している「個人年金保険」も私的年金になります。

中でも個人型確定拠出年金iDeCoは誰でも加入でき、税制上のメリットが大きいため、早いうちから入っておくと、長い期間、掛金分の所得控除を受けられるので検討してみてはいかがでしょうか。

また、上記以外では、国民年金第1号被保険者が対象となる「付加年金」で年金の上乗せができます。これは付加保険料400円(月額)を毎月の保険料に上乗せして払うと、その払った月数×200円が年金額に上乗せされる制度です。

つまり、これまで払った付加保険料の半分の金額が毎年年金額に上乗せされるというわけです。これは年金をもらっている期間ずっと支給されるので、国民年金だけでは心もとないという人こそ利用してほしい制度です。(国民年金基金と併用はできません

2.老後も働く

当然といえば当然ですが、国の制度も長く働くことでメリットが受けられるように変わってきています。

「在職老齢年金」は厚生年金を受給しながら、仕事を続けて厚生年金保険の被保険者となっている場合に、もらっている給料と年金の額によっては、年金の全部あるいは一部が支給停止となる制度です。

現在は60歳から64歳までの人が月給(総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計)28万円を超えて働くと、年金の全部または一部が支給停止となりますが、2022年4月からはこの基準が47万円に引き上げられる予定です。

月給が47万円以内であれば、給料も年金も全額受け取れるわけですから、働くモチベーションが上がりますね。ちなみに65歳以上の人は現在もこれからも月給47万円が支給停止の基準となっています。

もう一つ、老後も働き続ける人が検討してほしい制度が、「老齢年金の繰下げ受給」です。これは65歳からの年金受給を66歳以降に繰下げて受給すると、年金額が増額される制度です。

現在は繰下げられる年齢は70歳までとなっていますが、2022年の4月から75歳まで繰下げられるようになります。繰下げによって増額される率は、0.7%×繰下げた月数分となるので、仮に70歳まで繰下げると42%の増額率となります。

42%というのは、たとえば月15万円の年金額の人であれば、月21万3,000円に増額され、これが一生続くのです。このように、老後も働き続けることによって、年金をもらう時期を後ろ倒しにすればするほど、年金額が増える仕組みとなっているので、これも長く働くモチベーションとなります。