シリーズでお伝えしている「注目小売店月次実績」。今回は牛丼チェーン店「吉野家」他を運営する吉野家HD(9861)の、2020年8月の月次動向及び過去実績、また過去1年の株価動向について振り返ってみましょう。
直近の月次実績
2020年9月に更新された吉野家HDの2020年8月既存店売上高は、対前年同月比83.2%。内訳は客数80.2%、客単価103.7%で、客数のマイナスを客単価のプラスでカバーできずマイナス成長となりました。
また全店売上高も84.6%で、既存店・全店ともに対前年同月比80%台のマイナス成長となっています。
今期の既存店売上高の振り返り
では、同社のここまでの既存店売上高はどう推移してきたのでしょうか(同社は2月決算)。
前期の既存店売上高は特殊要因のあった2月を除き、11カ月全ての月でプラス成長が続きました。その後、3月以降は新型コロナウイルス問題のあるなか、対前年同月比で3月98.2%、4月96.0%、5月92.7%、6月87.7%、7月94.3%、8月83.2%と推移しています。
8月は6月と同様に80%台まで落ち込み、また今期最も低い数字となりました。ただし前期8月は113.9%と大幅な伸びだったため(7月は102.6%)、今期の8月は低めの数字が出やすい状態ではありました。
一方で全店売上高は前期全ての月でプラス成長を達成。今期に入り、3月は100.0%でマイナス転落を防ぎましたが、4月97.6%、5月94.0%、6月89.0%、7月96.0%、8月84.6%で、既存店同様の推移を見せています(前期8月は117.3%)。
過去1年の株価動向
最後に同社の株価動向を見ていきましょう。
同社の株価は2018年から1,600円台で底値を形成し、2019年5月より上昇を開始しています。そして2020年1月に3,050円の高値に到達しました。
しかし3,050円が天井となり、2月後半以降の株式市場全体の下落もあり、3月には安値1,709円まで下落。その後は5~6月にいったん2,500円台を回復したものの再び下落し、現在は2,000円を前後する水準で取引されています。
新型コロナウイルス問題の影響を比較的抑えることに成功した同社ですが、8月の対前年同月比は今期最も低い数字となりました。今後どのタイミングでプラス成長を果たすことができるのかが注目されます。
参考資料:吉野家月次推移(2020年度)
LIMO編集部