老後まで目前となった50代の方にとって、老後資金準備をどうしていくかという課題は共通認識となっているのではないでしょうか。

特に老後の資産形成においては、「iDeCo」や「つみたてNISA」というワードは様々な場面で目にしたり耳にしたりする機会があります。

さて、その「iDeCo」や「つみたてNISA」ですが実際はどのようなものなのかよく分からないという方も多いようです。

まずは現在の50代の方の貯蓄額を確認しながら、老後資金としてiDeCoとつみたてNISAどちらを始めれば良いのかを見ていきましょう。

50代の貯蓄額はいくらか

2020年5月に発表された総務省による「家計調査報告(貯蓄・負債編)2019年(令和元年)平均結果(2人以上の世帯)」をもとに50代の貯蓄額をみてみましょう。

貯蓄現在高平均は1704万円となっています。

これに対して負債額は652万円となっており、貯蓄と負債を相殺すると純貯蓄としては、1052万円となります。

貯蓄の中には預貯金の他に、生命保険や有価証券、金融機関外も含まれています。

あくまでも平均額ではありますが、昨年話題となった「老後2000万円問題」は老後年金収入の他に2000万円が生活費として足りないというものでしたので、老後資金としてあと1000万円、余裕がある生活を送るためにはそれ以上必要となることが分かります。

では50代はiDeCoとつみたてNISAどちらを選ぶと良いのでしょうか。

iDeCoとは何か

まずは「iDeCo」についてiDeCo公式サイトを参考資料として確認してみましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて平成14年1月より制度運用がスタートした私的年金のことです。これまでの公的年金や確定給付企業年金は、国や企業などの責任においてその資金を運用してきましたが、確定拠出年金は、自分の持分(年金資産)が明確で、自己の責任において運用商品を選び運用する年金制度。

年金制度ということもあり、監督官庁は厚生労働省となっています。

加入の条件があるiDeCo

iDeCoには加入条件もあり、必ずしも誰もが加入出来るわけではなく、下記条件に該当する方に限定されています。

またiDeCoの掛金には上限(拠出限度額)がありますので、自分がいくら拠出出来るか確認が必要です。

さらに、日本に居住であることが条件となります。

20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など(国民年金の第1号被保険者)

【加入できない方】

農業者年金の被保険者、国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている方(ただし、 障害基礎年金を受給されている方等は加入できます)

拠出限度額:月額68,000円(年間816,000円)

60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン、公務員)の方(国民年金の第2号被保険者)

【加入できない方】

お勤めの企業で、企業型確定拠出年金に加入している方(ただし、企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入できます)

  • 会社に企業年金がない方

拠出限度額:月額23,000円(年間276,000円)

  • 企業型DCに加入している方の例

拠出限度額:月額20,000円(年間240,000円)

  • DBと企業型DCに加入している方、DBのみに加入している方、公務員等の例

拠出限度額:月額12,000円(年間144,000円)

20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している方の被扶養配偶者の方(国民年金の第3号被保険者)

拠出限度額:月額23,000円(年間276,000円)

自分で運用商品を選ばならければならないiDeCo

iDeCoは、「自己の責任において運用商品を選び運用する」とありました。

具体的には基本的に、iDeCoに加入する時点で、運営管理機関が提示する運用商品(~35商品、ただし、令和5年4月末までは35商品を超えている場合があります)の中から、運用していく商品を自分で決める必要があるとのことです。

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このように自己責任ですべてを決めなければならないとうことからDIY(Do it yourself)商品とも言えます。

しかし、数ある商品の中で何を選ぶべきかということは誰も教えてくれず、よく分からないまま始めてしまったという方もいらっしゃるようです。

iDeCoを始めるメリットは

ではiDeCoのメリットとは何でしょうか。同公式サイトによると下記の3つのポイントがあります。

① 掛金が全額所得控除

確定拠出年金の掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減されます。

② 確定拠出年金制度内での運用益が非課税

金融商品の運用益は課税(源泉分離課税20.315%)対象となりますが、確定拠出年金内の運用商品の運用益については、非課税扱いとされています。

③ 受給時に所得控除

受給年齢に到達して確定拠出年金を一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」の対象となります。

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iDeCoのデメリットは

では、デメリットについても確認してみましょう。

  • iDeCoは年金制度ということもあり、税制のメリットを享受出来る代わりに60歳になるまでは、原則として年金資産(拠出した掛金とその運用益)を引き出すことができません。
  • 60歳から年金資産を受け取るには、iDeCoに加入していた期間等(通算加入者等期間)が10年以上、必要です。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が繰り下げられます。
  • 確定拠出年金は、将来、受け取れる額があらかじめ確定しているわけではありません。資産の運用はご自身の責任で行われ、受け取る額は運用成績により変動します。

このように「流動性」がなく、また運用成績によって受け取る年金額が変わってしまうという点がデメリットとなります。

自分の目的と合致しているかの確認が必要となるでしょう。

50代からのiDeCoの落とし穴

iDeCoは60歳までしか毎月の投資が出来ませんので、開始年齢によって運用出来る期間に大きな差が出てきます(今後変更となる可能性はあります)。

したがって、50歳で開始した場合でも60歳までの10年間しか資金を拠出出来ません。

仮に毎月23000円をつみたてし、5%の複利の金融商品を選んで10年間運用した場合、
拠出額約276万円に対し、運用益は約81万円です。

出来上がりは約357万円となりますので、老後資金として考える場合、非常に少ないといえます。

iDeCoのメリットを最大限享受できる方は開始年齢が早い場合ということが分かります。

つみたてNISAとは何か

ではここからはつみたてNISAを見ていきましょう。

金融庁のホームページによると、つみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)とは

特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です(2018年1月からスタート)。購入できる金額は年間40万円まで、購入方法は累積投資契約に基づく買付けに限られており、非課税期間は20年間であるほか、購入可能な商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られています。

先にご紹介したiDeCoは厚生労働省が監督官庁でしたが、NISAとつくものは金融庁が監督官庁となっており、国民の利殖のための制度となっています。

つみたてNISAが出来る人の条件とは

では、つみたてNIISAの利用条件を確認してみましょう。

【利用条件】

  • 日本にお住まいの20歳以上の方(※1)(口座を開設する年の1月1日現在)
  • ただし、つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択して利用可能

このようにiDeCoと違って利用出来る人の条件は、20歳以上であれば誰でも利用出来ることから始めやすいといえます。

つみたてNISAのメリットとは

つみたてNISAも国の制度であるため、税制のメリットがあります。

同ホームページでは下記のような非課税投資枠が設けられています。

つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として一定の投資信託が購入可能です。

各年に購入した投資信託を保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が購入した年から数えて20年間、課税されません。

非課税で保有できる投資総額は最大800万円となります。

本来、約20%課税される分配金や売買益等が、非課税となる制度です。

このように一般的な証券口座やネット証券から投資信託を始めた場合に発生する分配金や運用益などに対する税金が非課税になるというのは大きなメリットといえるでしょう。

つみたてNISAをまとめると

  • 非課税投資枠:毎年40万円が上限(年間800万円)
  • 非課税期間:最長20年
  • 投資可能期間:2018年~2037年
  • 投資対象商品:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
  • NISA口座開設数:1人1口座に限る

ただし、NISA口座内で、つみたてNISA又は一般NISAのどちらか一方を選択する必要があります。

iDeCoと同じようにつみたてNISAも自分が何で運用して資産を形成するかを、金融庁が厳選した投資信託の中から自分で選ぶ必要があり、資産運用の初心者の方にはハードルが高いともいえます。

50代にとってのつみたてNISAとは

つみたてNISAは開始年齢に関係なく、非課税期間が最長で20年間となっています。
老後目前の50代の方にとっては、少しでも増やしたいという方も多いと思います。

ではつみたてNISAで運用するとどうなるでしょうか。
年間40万円投資出来る限度額で、5%の複利の金融商品を選び最長の20年間運用した場合、出来上がりは約1300万円となります。

iDeCoと比較すると運用期間が最大で倍になっていますので、50代でどちらかを始める方にとってはつみたてNISAの方を選ぶとメリットを享受しやすいということが分かります。

まとめにかえて

50代の方にとっては老後までのラストスパートともなります。銀行の金利がほとんどないこともあり、銀行に預けているだけでは増えないということは誰もがお感じになっていることでしょう。
少しでも増やすという意味では、50代の方にとってはつみたてNISAの方がメリットを受けやすいことが分かりました。

ただし、運用期間を長く取るほど複利の効果を受けやすいという面もありますので、50代の方はつみたてNISAだけでなく、運用期間を長くとれるような投資信託や株式での資産運用もおすすめです。

老後をいくつと捉えるかは個人差がありますが、老後を迎えても運用を続けていくことを50代の方には実践いただけると良いと思います。

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