安倍晋三首相の辞任表明にともなう自民党総裁選では菅義偉官房長官が優勢だと考えられています。現政権からの政策を継承していく考えを示していることから、新政権となっても株価に与える影響は小さいでしょう。

むしろ、コロナ禍により実体経済が下振れしつつある中で、今後どのような政策を打ち出してくるかといったところに投資家の関心が集まりそうです。

コロナ前の水準に回復するが、上値は重い

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先週は商いが薄かったこともあって、窓をあけて価格が飛んで寄り付く日が多くありました。ただし、その後はローソク足の実体が短い動きが続きました。

注目すべきは9月3日の値動きです。窓をあけて上昇して寄り付き、その後は陰線となったものの、終値ベースで23,465円となりました。2月下旬のコロナ以前は終値ベースで23,400円前後でしたから、この水準を回復したことになります。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。現状は少し上昇するとすぐに調整が入るといったように、上値が重い動きが続いています。ただし、少し明るい兆しが見えるのは、小幅にもみ合う中でも、下値も上値もじりじりと切り上がっていることです。

25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線はいずれも上向きになっています。また、75日線と200日線によって形成されたゴールデンクロスも崩れていません。

こういった点からも、目線を上に持ち、「買い」でチャンスをうかがいたいところです。まずは今週、9月3日の高値(23,580円)を超えられるかどうかが一つのポイントになります。ここを回復し下値がサポートされるようであれば、コロナ前の戻り高値である1月17日の高値(24,115円)も視野に入ってきます。

逆に今週、23,000円を再度割り込むようであれば仕切り直しとなりますが、それでも、8月28日の安値(22,594円)あたりまでは、まだ短期的な調整の範囲内と見ていいでしょう。

下原 一晃