「年金の仕組みは複雑で、よくわからない」というご相談を受けることがありました。当時、私は銀行員でしたが、お客様に理解していただくのに苦心したのを、よく覚えています。

年金制度は複雑です。お客様の本心としては、理解することはできなくても、せめて自分がもらえる年金額は把握しておきたいというのが本音だったようです。

そこで、本日は年金を受給している方が、いくら年金をもらっているのか調べてみました。参考にしていただければ幸いです。

国民年金とは?

国民年金は、日本国内に居住している20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡により基礎年金を受けることができます。

私達が「年金」と聞いて、真っ先に思い浮かべる年金は、上記の場合だと「老齢基礎年金」になります。

老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間分の保険料を収めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受給することができます。

満額の年金額は、令和2年4月より781,700円となります。月に換算すると、約65,141円を受給することができます。実際は、偶数月に2ヶ月分がまとめて支払われます。

老齢基礎年金を受け取るために、平成29年7月31日までは、保険料の納付済み期間と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。

しかし、現在は納付済み期間と免除期間の合計が10年以上あれば、65歳になった時に受給することができるようになりました。

また、繰上げ請求により、65歳以前に年金を受け取ることも可能ですし、反対に、繰下げ請求を活用することにより、年金額を増額することも可能です。

できるだけ多くの年金を受け取りたい方は、空白期間があれば追納制度を利用したり、場合によっては、繰下げ請求の活用も検討してみたりするのもいいでしょう。

国民年金を、いくらもらっているか

平成30年度末現在の国民年金受給者数は804万人にのぼります。

国民年金(基礎年金)はサラリーマン、公務員などの第2号被保険者も受給しますが、上述の804万人は、自営業者等の第1号被保険者の人数となります。

では、実際に、第1号被保険者のみなさんは、国民年金をいくら受給しているのでしょうか。

下記の表は、国民年金受給者の平均年金月額の推移です。

老齢年金(受給資格期間25年以上)

  • 平成29年度・・・50,186円
  • 平成30年度・・・50,520円

通算老齢年金(受給資格期間25年未満)

  • 平成29年度・・・18,952円
  • 平成30年度・・・18,974円

国民年金は保険料を40年収めることで満額受給しても、月額6万5千円程度です。

40年も含む、25年以上の受給資格期間の平均ですと、満額から2割程度減り、25年に満たない納付期間だと、受給月額は更に下がることがわかります。

月2万円程度の年金では大変心もとない金額です。年金を増やすには、自助努力も必要になってきそうです。

付加保険料や国民年金基金の加入、更には、民間の年金保険に加入するなど、何らかの対策が必要となるかもしれません。

厚生年金とは?

厚生年金保険に加入している人は、分類上、第2号被保険者となり、国民年金(基礎年金)と厚生年金を受給することができます。

これは、厚生年金保険の制度を通じて、国民年金に加入していることを意味します。年金制度が「2階建て」といわれる所以です。

受給要件は以下の2つです。

  • 老齢基礎年金の受給要件を満たしていること。
  • 厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること。

受給できる年金額は、定額部分と報酬比例部分と加給年金額を合算して計算します。

しかし、それぞれの項目の計算が大変複雑で、標準報酬月額など、とても面倒な計算を行わないと計算できないのが難点です。

そこで役立つのが「ねんきん定期便」です。

年金額の計算に必要な年金加入期間や標準報酬月額など、特殊な計算の必要な数値が記載されているので、大変便利です。活用してみるとよいでしょう。

厚生年金を、いくらもらっているか

それでは、厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額の推移をみていきましょう。

ちなみに、厚生年金保険第1号とは、旧共済年金が厚生年金に統合された際、被保険者の分類がなされたため、このような呼び方になっています。1号から4号まであり、従来の厚生年金被保険者が第1号となります。

老齢年金

  • 平成29年度・・・147,051円
  • 平成30年度・・・145,865円

※基礎年金額含む

通算老齢年金(25年未満)

  • 平成29年度・・・59,621円
  • 平成30年度・・・60,687円

※基礎年金額含む

サラリーマンの平均はおよそ14万6千円となります。

どうでしょうか。国民年金を受給する自営業者の人が受け取る老齢年金と比較すると、2倍の額を受給できることになります。

しかし、老後に必要な最低限の生活費は、およそ20~25万円ですから、夫婦で共働き以外の世帯だと、年金だけで生活費をまかなうのは少し難しいかもしれません。

まとめにかえて

国民年金、厚生年金、ともに現役時代に働いて積み立てた大切な資産です。

しかしながら、老後のために積み立ててきたものの、受給できる金額だけでは、日常の生活費すら用意できない可能性があります。

現在は、60代でも元気で働くシニアも増えていますし、実力さえあれば、シニアでも起業をしたりして、収入を得る方法が以前よりも増えてきています。

できるだけ、若いうちから、老後の生活費のための貯蓄計画、運用計画を立てること、また、いつまで働くかなどを検討しておいて、老後に備えたお金の準備をしておくことが必要かもしれません。

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参考資料