原点回帰でファストフード業界「勝ち組」の1つに

それまでほとんど目立った値動きがなかった株価が急に動意づいたのはなぜでしょうか?

これは、フライドチキンへの原点回帰、及び、それに伴う業績拡大が評価され始めたためと考えられます。日本KFCホールディングスは、2017年6月にピザハット事業(宅配ピザ)を売却し、フライドチキン事業への経営資源集中を鮮明にしました。

この原点回帰が奏功し、先の2020年3月期の業績は過去最高益を更新。コロナ禍で苦戦が予想された2021年3月期も2期連続の最高益更新を見込んでいます(会社予想)。

実は、株価の値動きが非常に乏しかった時期、業績も停滞感が強く漂っていました。これは、「ファミマチキン」に代表されるコンビニ商品等との競合が激化し、主力のフライドチキン事業の収益力が低下したためです。ここで経営陣が取った策が、多角化に見切りをつけた原点回帰でした。

その後、競合他社との厳しい競争が続く中、フライドチキンの新商品投入などにより、既存店の売上高は2018年12月~2020年5月まで18カ月連続でプラスとなりました。6月はややマイナスに転じたものの、7月以降は再びプラスを維持するなど、ファストフード業界ではいわゆる「勝ち組」に属しています。

日本KFCの今後の収益拡大を、株式市場がどう評価していくのか注目です。

葛西 裕一