親兄弟や配偶者など身近な人が亡くなったときには、遺産相続が発生することがあります。筆者の知人のAさんもご兄弟が亡くなられたのですが、身内がAさんのみであったため、Aさんが相続人になったそうです。

とはいえ、ご兄弟には借入金こそないものの貯金もほとんどなかったので、複雑な手続きも不要でほっとしていたとのこと。しかし、そんなAさんに思いもよらぬ請求が来て、非常に苦労することになったそうです。

Aさんに起こったトラブルは、遺産の多い少ないにかかわらず誰にでも起こる可能性があります。身近な人が亡くなり精神的に辛いときに、思わぬトラブルで追いつめられることがないように、トラブル事例と予防策について知っておきましょう。

遺産相続の基本をおさらい

遺産相続とは、誰かが亡くなった場合に、死亡した人(被相続人)の財産・権利・義務を受け継がせることを言います。原則として財産を受け取れるのは「法定相続人(相続人)」であり、法定相続人に該当するのは以下の人と定められています。

  • 第1順位:被相続人の子ども、または孫(直系卑属)
  • 第2順位:被相続人の父母、または祖父母(直系尊属)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹、または甥姪

被相続人の配偶者は、上記に関係なく相続人に含まれます。Aさんのご兄弟は身内がAさんだけだったため、兄弟であるAさんが相続人になりました。