防衛として許されるための、5つの要件

法律上、許されるのは、相手の攻撃から身を守るための行動のみ。つまり、防衛です。絶対的なルールが存在しない国際社会と異なり、国内にはほぼ絶対といっていいルールが存在しています。個人的な憤怒を、個人的に解消するのは社会的なルール違反というわけです。

刑法36条の正当防衛を参考に防衛の範囲を考えると、5つのことが必要です。①自分あるいは誰かが、②危害を被っている状態が続いていて、③その危害から免れようとして、④ほかに方法がなく、⑤やむなくした行動であることです。

すでに終わった行為がムカつくので、仕返しをしようとして行動するのは正当防衛ではありません。昨日殴られたのが悔しいからというので、今日、殴り返したというのは正当防衛にはなりません。さらに素手で殴った相手に、ナイフで脅すなどというのは論外。悪質な犯罪になってしまいかねません。

ドラマや映画の主人公になり切る前に

以前、離婚ドラマや映画の監修をやっていた弁護士が言っていました。

「法律的に変だなと思う部分がけっこうあるんだけど、法律に合わせようとすると、『それじゃドラマにならない』って言われるんですよ。フィクションの世界だからいいかなと思うので、あまり追及はしないことにしているんだけどね」

筆者の甥は幼いころ、「ウルトラマンになる」のが夢でした。いい年をした大人が同じことを考えるとは思えませんが、ドラマや英語の主人公になり切ってしまうなんてことは、ありがちです。

半沢直樹がカッコよく倍返しをしたからといって、自分も同じことをしようというのはキケンです。ドラマや映画はフィクションとして楽しむのが身のためといえそうです。