世界の株式市場がほぼ全面高になった1週間
先週(2016年8月8日‐12日)の世界の株式市場は、ほぼ全面高になりました。
上昇率の高かった市場はベトナム、日本、ドイツなどです。上海市場もしっかり上昇しました。一方米国はこのところ小動きの展開が続き、S&P500はほぼ横ばいでした。下げたのはインドネシアとフィリピンです。
マクロ指標から振り返る
先週のマクロ指標を振り返ると、米中の指標はいまひとつでした。米国では7月の小売売上高が前月比横ばいにとどまり、生産者物価指数は前月比マイナスになったため、ドルが売られました。中国の7月のマクロ指標がまとめて公表されましたが、改めて景気拡大の減速傾向を確認する内容でした。
一方、OPECでの減産期待の再燃などから原油価格が上昇しています。しかし欧米の長期金利は低下し株式市場を底支えています。
こうした環境のなかで、先々週に下落した市場の多くがリバウンドし、世界的な株高につながりました。上海市場も軟化するマクロ指標が景気対策への催促につながっているようで、週末にかけて上昇しています。なお、個別株では決算を発表したアリババ株が急騰しています。
一方、決算期の峠を越え、マクロ指標が足踏みを示した米国の株式は横ばいで終わっています。
アウトルック:サマーラリー継続か。足踏みする米株の動向に注目
今週(8月15日‐19日)は、サマーラリーが継続するなか、足踏みする米株の動向に注目が集まりそうです。
マクロ指標等では米国の7月の消費者物価指数と住宅着工、日本の7‐9月期のGDP、米連邦公開市場委員会議事要旨と欧州中央銀行理事会議事要旨が注目されそうです。このなかでは、世界的に金融緩和基調のなかで唯一利上げを進めようとしている米国の物価や政策スタンスが最も重要です。しかし、ここにきて米国の経済指標は足踏み気味ですので、FRBに利上げを急かすような指標が出ない限りサマーラリーが続きそうです。
とはいえ、動きの止まった米株の行方は気になります。先週原油価格が上昇しましたが、石油メジャーの株価は小動きにとどまりました。WTIが50ドルを超えなければ動意が強まるのは難しいのかもしれません。そこで米株のドライバーとして消費やテクノロジーで新規材料が欲しいところです。ウォルマートやAMATの決算、インテル・ディベロッパー・フォーラムなどの内容が注目されそうです。
日本では決算がほぼ終了し業績面で安心感や底打ち感のある銘柄が選別物色されています。NT倍率の上昇はこの傾向と無縁ではないでしょう(参考:TOPIX(東証株価指数)が日経平均株価に比べて冴えない2つの理由)。日銀のETF買い増しと9月の金融政策への期待もあって、楽観ムードが高まっています。「閑散に売りなし」と言われますが、いましばらくサマーラリーが続きそうです。先週は機械や不動産、LINEが上昇するなど、物色に広がりの気配が伺えますので、うまく循環物色に入れるのか注目しておきたいです。
LIMO編集部